内容説明
かつて村における伝統的婚姻は恋愛結婚であった。―村内婚から遠方婚へ、聟入婚から嫁入婚へ、わが国の婚姻様式の沿革をたどりつつ、若者組・娘組の役割、恋愛技術の変遷、仲人の出現、婚礼儀式の風習を論ずる『婚姻の話』。巻末の「聟入考」は歴史学における民俗学の有効性と可能性を説いた注目すべき論考である。また現代は小家族制度に対して、近代以前の家はどのようなものであったか、産育の習俗、労働組織と家、家名と土地の関係など、家永続を願う民族特有のイエ観念を論ずる『家閑談』。ほかに婚姻と葬制に関する語彙集などを収録。
目次
婚姻の話
家閑談
農村家族制度と慣習
親方子方
常民婚姻史料
葬制の沿革について
葬制沿革史料
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
3
本著は常民の暮らしぶりをつぶさに観察し、叙述する意味からも、差別的表現が散見される。時代的にもやむを得ないことであろう。カタカナで夜這いのことを「ヨバイ」と書いてある。術語(ジャーゴン)としたい場合は、カタカナで書く作法があるのであろうか。ふつうの人びとの暮らしぶりを観察して、なにがしかの法則を見出そうというのは、その社会と同化してはできないと思う。観察者に徹しなければならない厳しさもある学問が民俗学ではないかと思う。どうしても、感情が入ってしまうと科学とはいえなくなるからだ。イエの論理が嫁いびりの源か?2012/11/28
Soma Oishi
0
柳田国男さんを経世済民から見ていくということが大変有益なのだろうと思いました。 日本民俗学が否定された社会主義の回復としてあるということが日本民俗の特異性というより世界市民としての普遍性にあることを示している。とても興味深いところです。 日本民俗学が保守というよりアナキズム的な社会主義として民俗学というものを学として成立させようとする運動だというところが刺激的です。 ハイデガーが実存主義を学として成立させようする運動として現象学を考えましたがそれと民俗学がリンクしているようにも感じました。柳田2014/09/18