出版社内容情報
老いを生きるとはどういうことか。きわめて理不尽であり、また現代的である老いの問題を、「ひとのあり方」という根本的なテーマに立ち返って考える思索の書。
内容説明
老いは死へ近づいてゆく生の下降である。老いを生きるとは、衰退と喪失、不安と理不尽を体験することである。長い歳月をかけてつくり上げた自己像の変更を余儀なくされ、私たちは自問する。老いの価値はどこにあるのか、と。それは、ひとの傍らにあり、ひとと共にあって、移ろう時のなかで互いの存在を肯定し合う関係を紡いでゆくことにほかならない。いのちへの思いに立ち返り、老いのあり方を考える思索の書。
目次
第1章 生きるということ
第2章 自分ということ
第3章 自由ということ
第4章 老いということ―老いの倫理学のために
第5章 介護ということ―介護の倫理学のために
第6章 死ということ
終章 傍らにあること
著者等紹介
池上哲司[イケガミテツジ]
1949年東京都生まれ。京都大学文学部哲学科卒、同大学院博士課程単位取得退学。専攻は倫理学・現象学。1992年より大谷大学文学部哲学科教授。2014年3月、定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
3
サブタイトルに反して、老いと介護が話のメインではないけれど、概ね興味深く読めた。後、鷲田清一に似ているという印象を受けたが、同じ感想を述べている人がいるのがちょっと嬉しい。自分、生きる、老い、死…全ての人間にとって逃れることのできない問題であるのにもかかわらず、多くの人が正面から向き合うことができずにいるテーマ。それらに究極の答えはないのは、半ば自明なのだけれれど、でもある人達はそのことを問わずにはいられない。最終的に答えは見つからないけど、新たな視点から問題を捉えることができる。それでいいと思う。2017/09/21
しゅんぺい(笑)
2
これ、むずかしい部分も多かったけど、かなり好き。 鷲田清一さんに似てるなあと思って著者略歴を見たら、生まれた年、勤務していた大学もいっしょ。おもしろいもんだと思った。 「為す・する」ではなく「ある」を評価できること。そんな見方がもっとなされればいいなぁと思う。 自由についての章、死についての章はむずかしい。ぜひ時間が経ってから、また読みたいです。2014/05/16
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1
ひろく読まれている本ではないようだけど、自分について、生について、書かれたもののなかでは、随一の論考だと思う。2017/02/07
ok_nogood
0
老いをどう生きるか、逃げられない生をどうとらえるか、何度も読みたい本2014/05/23
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0
Key Concepts:私の歴史、虚への志向性、関係性の対象化、無条件の肯定、他者、真っ暗なやみのなかへの超越、あること。2015/08/19