出版社内容情報
いまだ発掘が許されない天皇陵古墳。本書では、天皇陵古墳をめぐる考古学の歩みを振り返りつつ、古墳の地理的位置・形状、文献資料を駆使し総合的に考察する。
内容説明
日本考古学の研究上最重要の対象である「天皇陵古墳」に対しては、残念ながら研究の基礎となる発掘作業なども行われていない。本書では、古墳の地理的位置・形状、『古事記』『日本書紀』等の文献資料などを駆使し総合的アプローチを試みる。また、天皇陵古墳をめぐる考古学の歩みを考え、新しい研究への道を示す。
目次
第1章 天皇陵と出会ったころ
第2章 仁徳陵から大山古墳へ
第3章 前期の天皇陵古墳
第4章 中期の大山古墳の諸問題
第5章 百舌鳥古墳群の形成と陵山古墳
第6章 古市古墳群の形成と津堂城山古墳ほか
第7章 継体陵からの後期の天皇陵古墳
第8章 舒明陵から文武陵までの終末期の天皇陵古墳
第9章 落穂拾の章
著者等紹介
森浩一[モリコウイチ]
1928年生まれ。同志社大学名誉教授。日本考古学・日本文化史学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ニコン
20
著者は有名な考古学者。考古学的方法によって古墳時代の天皇陵をわかりやすく解説しています。教科書で習った「仁徳天皇陵」は今「大山古墳」と言いますが、その呼び名を普及させたのは著者です。この本を持って関西へ・・・、行きたい。2014/05/30
ラグエル
15
現形を原形と即断してはならない、っていうのは、考えてみりゃあ当たり前のことで、なおさら、「文久の修陵」なんてあったからには。この史実は高校の日本史ぐらいで知っておくべきなのじゃあないのかな。幕府が天皇家を尊重する態度を見せるため陵を飾り、農民が田んぼの水を確保するため濠を広げ、なんて多分に政治的すぎる理由で遺跡が変身していくなんて。2011/10/10
月をみるもの
13
雄略天皇陵が、森さんの言うとおり高鷲丸山(円墳)でいいのか岡ミサンザイなのか、はたまたまったく別の古墳なのか、、、が気になる。。はよ連載おわって本にしてほしい>池澤さんの日経連載 https://www.nikkei.com/topic/20180829.html2019/02/17
ラグエル
5
最近教科書で「仁徳天皇陵」を「大山古墳」と表記していて、何が起こっているんだろうと思っていたけど、この本で氷解。ふむふむ、天皇名を冠して古墳を呼ぶのは危険だわ。怒る人もいるかもしれないから言うけど、それは天皇に対する不敬ではないと思う。さしたる根拠もないのに、それをある天皇の墓だって言っているほうが、よっぽどその天皇に対する礼儀を欠いているでしょうに。2011/10/08
onepei
3
後進への入門のような本当に招待状みたいな本だった。2011/09/28