内容説明
1944年(昭和19年)7月22日。高くあがった朝日がキラキラと照りつける中を、戦闘帽をかぶり、色あせた作業服によれよれのリュックサックをせおった少年たちは、ひつじの群れそっくりに改札口の方へ行く。ほとんどがすすによごれた顔をうつむきかげんにしている―。4月からきのうまで、神奈川県大和町にある高座海軍工廠でみっちりきたえられ、正式に海軍軍属に任命されてやってきたのだ。3月に国民学校(現在の小学校)を卒業したばかりで、身長1.35メートル、まだ満12歳8か月の、小さな海軍軍属だった。小学校上級から中学生向。