内容説明
1983年、ドキュメンタリー番組の制作に携る著者は、日韓の文化交流を描く番組を通じて、韓国陶芸の復興をめざす作家、趙誠主氏と出会う。物語の第一部は、ソウルオリンピックが開催された激動の80年代、ソウル郊外の窯場を訪ね、陶芸家夫妻や幼い息子たちと過ごした思い出の日々。第二部は20年後、文筆家となった著者と、夫妻そして成人した兄弟との再会―。ハングル混じりの会話とモノローグで綴られる家庭のほのぼのとした日常に、韓国の社会問題や朝鮮陶芸史の空白と日韓関係など、スパイシーな話題が絡まる。テレビドラマのような描写と展開で、日本人がとうに忘れ、韓国でも薄れつつある「家族の絆」をみごとに描いた新感覚のノンフィクション。
目次
1 (一九八六年~一九八八年)(ラーメン食べて、春愛は走った;遊びに学ぶ「人は愛」;偉大なる道を亀が行く;スカートの風が呼ぶ「もう死にそう」の物語)
2 (二〇〇六年~二〇〇七年)(センチメンタル・ジャーニー;もうひとつの故郷)
著者等紹介
多胡吉郎[タゴキチロウ]
1956年東京生まれ。1980年NHKに入局、ディレクター、プロデューサーとして多くの番組を手がける。1983年日韓陶芸家の交流を描く番組を通して、趙誠主氏と知り合う。1995年NHKスペシャル「空と風と星と詩 尹東柱(ユン・ドンジュ)日本統治下の青春と死」を、韓国放送公社(KBS)と共同制作。同一内容の番組が、日韓で放送されるという放送史上初の記念碑的番組となる。1999年よりロンドン勤務を経て、2002年退職し、英国で文筆活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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