内容説明
一体、詩人とは何だろう?その人が優れた感性と洞察力の持ち主であるならば、今に先立って未来の世を見、現在の人々や無念の中に亡くなった人々の声を聞く。若き日の詩人藤村が岸辺に流れ着いた一つの椰子の実から、はるか南の海の音や島の人々の声を聞いたのに、日本ペンクラブ会長・帝国芸術院会員となった藤村は『戦陣訓』の作成中、戦場で負傷した兵士らや洞窟に追い詰められた民間人たちの声や恐怖の叫びが聞こえなかったのか?岸辺の漂着物はいつも悲しい。
目次
月桃の花が咲くとき(6.23)
ひめゆりの祈り
一握の種子
生命の旅
漂着の実
ちっちゃな指
幻肢痛
戦場の仁
死と生の同心円
漂着物〔ほか〕
著者等紹介
桂沢仁志[カツラザワヒトシ]
1951年、愛知県生れ。北海道大学理学部卒。元高等学校教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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