内容説明
著者独自の「主体的経験の現象学」によって、七年間にわたる内面的苦闘のプロセスを現象学的に分析。その成果を「“エゴイズム”の克服過程の五段階論」および「哲学的探究における自己変容の八段階論」として結実させた。著者の初期論考の集大成。著者の七年間にわたる「地獄の苦しみの日々」の独白や、キルケゴール、フランクルらの思想についての詳細な分析も掲載。
目次
1 “哲学する”という方法―主体的経験の現象学
2 人間の根源的自己中心性としての“エゴイズム”とその克服の過程
3 “哲学”的探究における自己変容の八段階論
4 “哲学”から“宗教”へ
5 私自身の体験―哲学神経症とその極点における真理への覚醒
6 カント、キルケゴール、フランクル―本書における理論構築の基盤
著者等紹介
諸富祥彦[モロトミヨシヒコ]
1963年福岡県生まれ。筑波大学、同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学助教授を経て、明治大学文学部教授。教育学博士。臨床心理士。日本トランスパーソナル学会会長。日本カウンセリング学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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香菜子(かなこ・Kanako)
16
哲学的探究における自己変容の八段階 「主体的経験の現象学」による“エゴイズム”とその克服過程に関する考察。諸富 祥彦先生の著書。生きる意味に悩んだとき。生き方に悩んだとき。自分勝手な自分に悩んだとき。諸富 祥彦博士からの励ましの言葉がもらえた気分になれる。研究者としての諸富 祥彦博士の凄さがつまった一冊。2023/08/18
Yakmy
1
ぐらぐらと頭を揺さぶられた前半。ちょっとちょうだいな繰り返しが目立ってしまったけど、〈哲学〉という手法の有用性を感じさせられた。「現代社会に生きる私たちが、ごく「あたりまえ」のものとみなしており、ごく「自然に」身につけている、自分の〈幸福主義〉的な生き方・考え方を、ことごとく疑ってみる。」という試みは、ちょっと考えるだけで、不安定な足場の上に立たされるような恐怖を覚えてしまった。それにしても、徹底した著者の懐疑には恐れ入ってしまった。2021/01/09