内容説明
ひろったらっぱのひびきは、せんそうではなく、へいわをねがうひとびとに、ゆうきときぼうをあたえました。
著者等紹介
新美南吉[ニイミナンキチ]
1913年~1943年。愛知県生まれ。雑誌『赤い鳥』に「ごん狐」を初め多くの童謡・童話を発表。他に少年小説、民話的メルヘン等、優れた創作活動を展開したが、二十九歳で早逝
葉祥明[ヨウショウメイ]
1946年、熊本県生まれ。詩人・絵本作家として活躍。1990年『風とひょう』で、ボローニア国際児童図書展グラフィック賞受賞。また『地雷ではなく花をください』シリーズ(自由国民社)では平和を愛する人びとの共感を呼び、世界各国で翻訳出版されている
保坂重政[ホサカシゲマサ]
1936年、新潟県生まれ。『校定・新美南吉全集』(大日本図書)を初め新美南吉作品の企画・出版に編集者として関わってきた
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感想・レビュー
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shiho♪
22
2003年刊。学校図書館に入れました。地元愛知の作家です。2023年は南吉生誕110年ということで学校図書館では南吉の推し活しています。 お話は反戦童話。南吉がこのお話を書いた時は昭和10年、すでに日本は戦争の時代に入っていました。らっぱは兵士を鼓舞する道具。らっぱを拾った男は戦場で手柄を立てようとしますが、戦闘で荒れた農地を見て、らっぱを戦争の被害にあった村人のために吹きます。 個人的に葉祥明さんの絵が好きで、この本を入れたのですが、良かった!最後のページの絵にびっくり。青い空と小麦畑。是非ご覧あれ。2023/01/22
みさどん
15
新美南吉さんがこんな本を書いていたなんて。宮沢賢治さんのようだった。静かに反戦をうたう本。戦争中に亡くなった新美さんが声高には表現できなかった平和希求の思いをこめている。あくまでも遠景で、男の顔がわからず、きれいな風景が広がっている。けれど、戦争で荒れた場面は思いきり暗くしてほしかったな。葉祥明さん。2017/08/25
雨巫女。@新潮部
14
《図書館‐特設》新美南吉作品を集めたコーナーにて。この作品はお初でした。戦争の空しさを感じた。2013/05/02
遠い日
12
戦争をしてはいけないと感じた男のまっすぐな気持ちが村人に力を与えていくようすが、ぐんぐん変わっていく畑と風景に現れている。らっぱひとつで、人を励ますことができた、その可能性を新美南吉は純粋に描ききっている。2018/02/28
mari
11
戦争で手柄をたてようとでかけた男が、ラッパを拾い、戦争で荒らされた田や畑、悲しんでいる人々にあって、戦争ではなく、人々を元気にしようと決意して、行動していく話。2014/11/01