内容説明
本書は、性教育やセクソロジー(性学)の分野・領域において、セクシュアル・ライツやマイノリティの人権にこだわり続けてきたなかで執筆したものと、新たに書き下ろした章で構成されています。ここに収めた論文は、著者自身が性教育の分野、子ども虐待やマイノリティの人権運動にかかわりながら書いたものです。
目次
1 マイノリティの性的人権論(いま、なぜマイノリティを問うのか;マイノリティとセクシュアル・ライツ ほか)
2 子どもの性的人権論(子どものセクシュアル・ライツ―人権としての性の位置づけ;子どもの性的発達とセクシュアル・ライツ ほか)
3 子ども虐待に立ち向かうために(子ども虐待と子育て不安;子どもへの性的虐待の実態と対策 ほか)
4 セクシュアル・ライツを拓くために(男性のセクシュアリティを考える;セクシュアル・ライツを阻む「新純潔教育」―その狙いと現実 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
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セクシュアル・ライツ(性の権利)に関する入門書。世界性科学会議で「性の権利宣言」が採択された。本書は主に子どもの権利条約の観点に基づき、子どものセクシュアル・ライツについて具体的な統計や事例を紹介しながら解説している。やや驚きだったのはアメリカでは性的虐待の被害に遭う子どもは男性が16%、女性が27%に上るという統計である。4人に1人は多いが、日本の被害統計が低く出るのは、性被害をチェックする体制に不備があるのではないかと指摘されている。なお、性加害者の97%は男性である。性被害の防止は喫緊の課題だろう。2023/04/07