出版社内容情報
「マラーノ性」(隠れユダヤ人の総称)は文学的観念として成り立つのか。在日朝鮮人らマイノリティをあえてマラーノと呼び、その可能性を縦横に論ずる。
内容説明
「マラーノ」という侮蔑的表現を裏返し、それを隠れユダヤ人を示す歴史的用法から解き放ち、より普遍的な意味で、ひとが本来の出自を社会的に隠して生き延びねばならぬ状況一般に用いることははたして可能か。在日朝鮮人、被差別部落出身者等々をあえて「マラーノ」と呼ぶことで、ありえぬ想像上の自我のもとに説話の主体を引き受けるという、文学の本質に触れる意欲的な新ジャンル論。
目次
ドゥルシネーア赤
李香蘭の喪われた家
立原正秋という問題
寺山修司―朝鮮人のふりをすること
中上健次の詩
中上健次―路地の映像
劇作家としての松田優作
帷子耀
宋敏鎬のブルックリン体験
玄月―土地の凋落
アイドルの終わり―『パッチギ!LOVE&PEACE』
ここで突然、プルースト
川村湊を批判する―生まれてもそこは異郷
著者等紹介
四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
1953年生。東京大学で宗教学を、同大学院で比較文化を学ぶ。韓国の建国大学校、中央大学校、テルアヴィヴ大学などで客員教師を勤める。現在は明治学院大学教授として映画史を講じる。映画と文学を中心に、音楽、漫画、料理、都市論と多様な分野で批評活動を行なう。著書に『モロッコ流謫』(伊藤整文学賞)、『映画史への招待』(サントリー学芸賞)、『ソウルの風景』(日本エッセイストクラブ賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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