内容説明
きたるべき時代の暴力論。ベンヤミン『暴力批判論』とファノン『地に呪われたる者』。著者はこの20世紀の二つの暴力論を、自らの体験として読み直す。グールドや黒人ジャズ、ナチスの闘争歌を生成の現場で聴く。そして寄せ場労働者、フリーター、ホームレスの人々に接して新しい「階級」を構想する。政治や思想の動きを「音」として聞き思考した力強い評論集。
目次
暴力的生成―ベンヤミンとファノンの経験
ピアノを弾くサイード
構成的ホームレス
甘く苦き新しいプロレタリアへ
階級的東京
破壊と実現―ギー・ドゥボールと平岡正明、そしてフランツ・ファノン
非常事態下の音楽―ワイマール末期の「音」の闘争
著者等紹介
平井玄[ヒライゲン]
1952年東京都新宿区に生まれる。1968年、都立新宿高校1年の時に全共闘運動に参加。早稲田大学文学部抹籍。以降、企業体に属さず、新宿の街でジャズを中心とする音楽批評と社会運動に携わる。1985年、日雇い労働者たちの生活と闘いを描いた映画『山谷 やられたらやりかえせ』の製作と上映の運動に加わる。92年にはパレスチナ/イスラエルのエルサルム市を訪れ、パレスチナ人音楽グループを国内に招聘、コンサートを開く。97年より早稲田大学文学部非常勤講師。著書に『路上のマテリアリズム』(社会評論社、1986)、『破壊的音楽』(インパクト出版会、1994)。共著に『東京劇場 ガタリ、東京を行く』(UPU、1986)、『音の力』(インパクト出版会、1996)、『ファシズムの想像力』(人文書院、1997)、『音の力 沖縄「コザ沸騰編」』、『同「奄美/八重山/逆流編」』(インパクト出版会、1998)、『21世紀のロック』(青弓社、1999)
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