内容説明
或るフランス文学者が遺した情熱の軌跡。“人間とは無益な受難である”から“楽天主義への転換としての「負けるが勝ち」”へ。到達不可能な理想、にもかかわらず人生に意義を与える人間の生き方、実践とは何か。サルトル世界を自らの思想遍歴の核に据え、『存在と無』の広大な森に分け入った意欲の論考。
目次
サルトルとフーリエ―私の思想履歴書J‐P・サルトルのパリ「日本館」来訪より今日まで
J‐P・サルトル『存在と無』考(「無益な受難」と「負けるが勝ち」;方法の問題または理解するということ;現象の存在の特徴について)
J‐P・サルトル『存在と無』考―反射‐反射するものReflet‐refl´etantの構造の理解について
『存在と無』と『嘔吐』における存在現象について―マロニエの樹の根の〔存在の〕ヴィジョンについての一説明
J‐P・サルトル『聖ジュネ』における「負けるが勝ち」考序説
ある幻覚、とJ‐P・サルトル『想像力の問題』
著者等紹介
小西忠彦[コニシタダヒコ]
1943年4月29日生まれ。’68年東京大学教養学部教養学科フランスの文化と社会科卒業。同年東京大学大学院人文科学仏文学科修士課程入学。’70年同修士在学中、フランス政府給費留学生として渡仏。パリ大学フランス文学部門第二課程(C2)登録。給費期間3年。’74年同第二課程修了、帰国。’75年明治学院大学、跡見学園女子大学非常勤講師。’76年同校他、学習院大学、東洋大学非常勤講師。’77年宮城教育大学助教授(フランス語・フランス文学)。’98年9月2日死去
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