内容説明
彼女らと彼らは「たまたま」戦争体験者と出会った。そして、その声を語りつぐべき、ちょうどその時だと動きだしている。語りつぐ「戦争」。
目次
戦争体験を語りつぐということ(正義と尊厳の回復を求めて―「従軍慰安婦」;被害と加害から戦争を考える―南京事件;東アジアの出会いと友情―強制連行・強制労働;戦争できる人間づくり―靖国神社;街のざわめきに記憶を込める―東京大空襲;次のスタートラインを目指して―沖縄戦;ヒロシマ・ナガサキと人間―原爆;朝鮮戦争と現代日韓関係―朝鮮戦争;現代の戦争の体験者として―イラク戦争)
なぜ今、私たちなのか―座談会(「証言」=傷口をひらくこと?;問われる聴き手の想像力;「物」をめぐる証言と記憶の蘇り;なぜ今、私たちなのか;「体験」を「経験」にかえる;裁判で「今」の問題に;これを出発点に)
伝え、伝え合う声の響鳴
著者等紹介
小森陽一[コモリヨウイチ]
1953年東京都生まれ。北海道大学文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。専攻は、日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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寛生
42
【図書館】小森が監修。彼らが「何を伝えるのか」という焦点が強すぎる。なぜ、彼ら自身に証言者から「何がどう伝わったのか」という点に重きを置かなかったのか?43頁に、もしこの記述者が戦中に日本兵として生きていたら同じ加害も自分もしたのではないか、という所までは想像力がいっているが、それでは人間一般及び日本人としての〈責任〉についての想像まで議論が及んでいないし、過去に人間が犯した過ちをもう一度繰り返すことさえよしとすることになるのではないか。西村美幸の靖国の欄が特にいい。2014/09/11
Takao
3
2008年7月20日発行(2009年5月30日、第2刷)。2010年10月23日付のサイン入り。横浜で行われた教科書集会で求めたものか。戦争体験を聴くという共通の体験をしている九人の若者が著者。「従軍慰安婦」・南京事件・強制連行・靖国神社・東京大空襲・沖縄戦・原爆・朝鮮戦争・イラク戦争、それぞれ関わり方は異なるが、証言者の方に寄り添い、あるいは自信が「現地」に赴き、「戦争」を伝えようとしている。決して「伝えなくては」という義務感ではなく、「伝えたいから」。発行から14年、今こそ戦争への想像力が求められる。2023/01/05
いけぽん
1
数年ぶりに読み直し。戦争体験のない私たちが「戦争はイヤだ」と思い続けるためには戦争への想像力をつけなくてはいけないと思う。著者たちの姿勢から、戦争に真摯に向き合う気持ちを思い出させてもらった。これをどう周りに広げ次の世代に引き継ぐかが課題だ。2013/09/08
星辺気楽
0
反戦・平和を希求する若者にスポットを当てた書。戦争体験者の聞き取り活動から、現代のイラク戦争に直接現場で命をかけて戦争を阻止しようとする者まで、その関わり方は多様だが、理不尽な権力の横暴に対する純粋な気持ちは素晴らしい。2013/02/28