内容説明
道が間違っているのなら、進むわけには参りません。政が大きく変わる様を見届けるため、江戸から故郷に戻ってきた天羽藩上士の子・伊吹藤士郎と異母兄の柘植左京。藤士郎は母や姉が自分たちなりの生き方を見つけ、逞しく暮らしている様に驚く。友とも再会しわだかまりを解いた。だがそれも束の間、藩から登城せよとのお達しが。意図が分からぬまま、藤士郎と左京は揃って城に参上するが、そこで側用人・四谷半兵衛から告げられたのは決して受け入れられない沙汰だった―。武士ではない生き方を知った少年が選んだ道とは?青春時代小説、最終章!
著者等紹介
あさのあつこ[アサノアツコ]
1954年、岡山県生まれ。青山学院大学卒業後、小学校講師を経て、1991年に『ほたる館物語』で作家デビュー。その後、『バッテリー』及びその続編で、第35回野間児童文芸賞、第39回日本児童文学者協会賞、第54回小学館児童出版文化賞を受賞。2011年には『たまゆら』で、第18回島清恋愛文学賞を受賞した。児童文学からヤングアダルト、一般小説、ミステリー、SF、時代小説など、幅広いジャンルの第一線で活躍し続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
190
シリーズ第三弾にして最終章。天地人三部作なのだろう。人・・政を為すは人にあり。政の光と闇。照らす大地に人の暮らしがあるのだ。民のための政だろう。藤士郎と柘植左京。命を賭けて戻った場所が生きる場所なのだ。どこにいても生きていればいい。まっすぐに生きて行け。二人の姉・美鶴の明るく逞しい言動がこの物語に光を放っている感じがして好きだった。左京が江戸でお京と再会出来ますようにと願って読了した。2019/11/05
旅するランナー
165
一徹者の藤十郎、捻じれ者の左京、頑張り者の姉上美鶴。藩内の争いに巻き込まれ、僻村での生活を余儀なくされる三人の、でも、うつむかない、前向きな姿が清々しいです。幼さを残しながらも、確かな成長を見せる青春時代小説。大人たちの権謀術策に負けず、友を救い、山津波に立ち向かう。己の生き方を己で決めて、生きろ! 生き続けろ! 続編を乞う!2019/11/30
ゆみねこ
92
政が変わる様を見届けるために天羽に帰ってきた伊吹藤士郎。母や姉との砂川村での穏やかな暮らしが始まるかと思いきや…。登城の命を受けた藤士郎と左京に告げられた非情な沙汰、友の命を救い天災と戦う。政の闇に押し潰されそうになっても負けなかった藤士郎。一途な若者の成長譚、姉・美鶴の明るさが良いアクセントになっていた。2020/07/28
真理そら
61
天地人三部作の最終章。作者の意図ははっきり伝わるエンディングだけれどもう少し読者にカタルシスをください、と感じる読後感。2020/08/16
万葉語り
43
シリーズ3作目。再び故郷に戻ってきた藤士郎の横に左京はいない。農村で生きる姉と母に女性の強さを感じた。藩中枢の政争には終わりが見えなくても、まっすぐな生き方を貫く少年の成長が清々しい作品でした。2020-092020/01/12