内容説明
社会人に必要な「数学思考」が90分で身につく本。
目次
はじめに 文系にだって数学は役に立つ
1章 微分―数学的思考の「華」を徹底的に使いこなす
2章 関数―「f」で生まれる無限のアイデア
3章 座標―x軸とy軸で世界を評価する
4章 確率―無謀な選択を食い止め、挑戦の勇気を持つために
5章 集合―頭の中のモヤモヤをすっきり整理
6章 証明―騙されないための論理力を鍛える
7章 ベクトル―方向と大きさで考える
終章 数学は「理性」を発揮するためのトレーニング―なぜいま数学的思考が必要なのか
著者等紹介
齋藤孝[サイトウタカシ]
明治大学文学部教授。1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。著作多数。著者累計出版部数は1000万部を超える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ta_chanko
14
正比例幻想にとらわれず、物事の変化と勢いを正確に見極めるための「微分」。物事のスタイルや一貫した変形作用を理解するための「関数」。物事を様々な観点から評価するための「座標」。無謀な選択を避け、勇気の出る現実を見つけるための「確率」。思い込みを排し、確たる前提に基づいて事実認識を積み上げていく「証明」。方向性と大きさを合成・分解することで物事を分析する「ベクトル」。片付けは「因数分解」。正負によらず、大きさを示す「絶対値」。まさに生活の中で使える数学的思考。勉強になりました。2020/04/15
チャー
13
数学的思考と世界の見え方の関係について記された本。数式や公式そのものが社会生活の中で直接的に関わってくることは少ないが、一つ一つの考え方や視点は日常生活に広く適用可能であることに気付かされた。微分の考え方は、さまざまな変化を読み解く上で利用できる。ベクトルは方向だけでなく大きさも備える。宝くじの期待値と合格率の余事象。かつとまたはを図示する事で複雑な文章を読み解く手がかりとする等は大変わかりやすい。考え方を学んだつもりでうまく活用していなかったことに気づく。生活に役立てるという意味で目からウロコであった。2020/06/01
広井啓
12
問題はない、指摘は当たらない、何処かの国の首相やら官房長官がしばしばそのように強弁していた。これらを著者は論理性のかけらもない言い訳と切り捨て、真っ当な理屈が通らない、議論の土台そのものが揺らいでいるのが現代社会の深刻な問題と指摘している。その問題を解決する手段が数学的思考であり、より良い社会には理性的な議論が必要で、理性を身につけるには数学的なトレーニングが不可欠と説く。大いに合意する。確率の例示のなかで、単独の合格率をどれか一つの合格率が上回るとあるのは確かにそうかも知れないが、実感しきれていない。2022/06/24
羊山羊
12
中高生で数学というジャンルまるまるをどぶに捨てることになり、それ以来読む気になって読んだ数学の本といえばサイモン・シンくらいのものである。数学という思考の型を、文系が取り入れ生かすにはどうすればよいかに焦点を絞った優しい自己啓発書。正直本著を読んだからと言って数学を学びなおしたくなったか、というと、残念ながらそうはならなかったが、数学の魅力あふれる世界を語ってくれるこの1冊が、とても大事に思えてくる本。 2020/09/06
shouyi.
9
小学生の頃から苦手だった数学。高校生の微分・積分の授業からアレルギーになってしまった。なぜ数学を学ぶ必要があるんだ?この本は文系人間の視点から数学がどのような思考につながるかを明解に示している。『方法序説』が読みたくなった。2020/04/11