内容説明
同じ会社の井ノ口一也と結ばれ、安城由布子は幸せの絶頂にいた。たとえ不倫と呼ばれる関係であっても。だが、不幸は突然訪れた。二人の仲を裂きに現れた井ノ口の母親が、何者かによって由布子のマンションの屋上から突き落とされたのだ。やがて由布子に疑惑の目が。これは罠だ―追いつめられた二人は、一か八か逃避行を図る。しかし、その行く手には第二の殺人が…。
著者等紹介
笹沢左保[ササザワサホ]
1930年、横浜生まれ。61年、『人喰い』で第十四回日本探偵作家クラブ賞を受賞。以来、旺盛な執筆活動を続け、推理、サスペンス、時代・歴史小説と幅広いジャンルで多数の作品を発表。2002年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MINA
14
うーん、面白い!ほんと、著者の復刊本全部買ってるわ。いや正直、一貫して主人公の井ノ口は自業自得の糞馬鹿野郎とは思うんだ。やっぱ心情的に純子の側に立ってしまうし。でも…いつの間にか追い詰められて必死に逃げ惑い愚かにも愛人を求め合いながら浅はかなりに真犯人と対決していく姿にどこか共感し理解していた。応援とまではしたくなかったけど。妻である純子って、何も悪くなくないか…?純子の立場から読み直すとただただ寂しく哀しくやりきれないな。2020/03/12
Li
6
人間の愚かさと滑稽さが描かれていました。嫁姑関係に自分は無関係のような井ノ口、どうしてもイライラしてしまいました。惚けたような的外れの返答をしたり、詰問されて最終的に開き直ったりと、最愛の存在である妻と子どもの心情を全く汲み取れていません。愛人に夢中で周りが見えなくなり、一家の主人という自覚がないのでしょうね。テンポ良く楽しく読んでいましたが結末は少し物足りなさを感じました。2020/03/11
なえ
6
女は怖し、男はおろか。妻の行動でこんな大ごとになったのに妻はよく平然としていられるね。 妻が発狂きた時は春絵じゃん!と思った。それに気付いてない本人もまた春絵の道に行きそうだね。2020/02/23
45 ぴよ
3
んー内容が昭和だからではなく、個人的にはイマイチでありました。推理なのか不倫小説なのか…判断がつかないうえに結末が…というのが正直な感想ですー。2020/02/27
yk8743
2
会社で不倫の中幸せ絶頂の二人。不幸は突然訪れる。男の母親が女のマンションの屋上から突き落とされた。女は容疑者となり逃避行を図る。ドス暗い感じが読みたくて選んでみたが予想よりスッキリした内容。語りに説明が入るので情景が分かりやすく読みやすい。人物像の設定はピンと来ない。例えば知的と紹介されつつも馬鹿丸出し(逆も然り)で感情移入という面では難しい。愛は人を駄目にするというところか。倫理的に愛人はダメというのを抜きにしても個人的に二人の女性を愛するという心境は理解できない。ミステリと言うよりはサスペンス。2020/06/27