感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
16
長く京都大学で教鞭をとり、日本におけるマルクス主義経済学の草分け的存在であった河上肇の評伝。共産党の幹部までが転向をするほどの苛烈な弾圧があった時代、投獄され、初期は獄中で心の揺れがあったものの、賢夫人の助言もあり入獄後期には心も落ち着き、最後までマルクス主義からの転向を良しとしなかった河上。宗教的真理と科学的真理の統一を求めて思索と実践を繰り返した求道者であり経世家的な人物でもある。思想上の難解な事柄はよく分からないが、深い思索の果てに自分の選んだ道を、迫害にも耐えて保ち続けた純真な心に打たれる。2024/02/05