内容説明
福岡のお屋敷に奉公に出た千恵子。そこで出会った美しい令嬢の和江は、愛に飢えた寂しい日々を送っていた。孤独の中、友情とも恋とも違う感情で惹かれ合うが、第二次大戦下、戦況は刻々と悪化。女たちの運命はたやすく戦火に揺り動かされ…。人生を選ぶことも叶わず、時代と男に翻弄されてもなお咲き続ける昭和の女性たちの、誇り高き愛の物語。
著者等紹介
宮木あや子[ミヤギアヤコ]
1976年神奈川県生まれ。2006年「花宵道中」で「女による女のためのR‐18文学賞」大賞と読者賞をダブル受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
132
『何を言われても何が起こっても、誇りだけは捨てぬよう』。女学校を退学した日に学長から言われた言葉の先に続く激動の人生を生きた一人の女性。そんな女性の物語含め、時代に翻弄された女性たちの生き様が四つの短編にわたって描かれたこの作品。そんな女性たちは、苦難の人生の中でも自らの人生に誇りを持って、一日一日を必死で生きていました。それぞれの短編にこれでもかと描かれる官能な描写の数々とともに、それぞれの短編に登場した主人公たちの想いを鮮やかに描き出していく宮木さん。その見事な表現力に圧倒された素晴らしい作品でした。2022/12/02
のんちゃん
34
大正末期から戦中、戦後、そして現代に続く女性達の愛を貫く為の闘いの物語。久々の大好きな宮木あや子作品。本作を読むとこの人がTVドラマにもなった『校閲ガール』の作者かと作風の違いに感嘆する。しかし、宮木先生の作品中の女性達は皆、一本芯が通り、逞しく、自分で人生を切り拓いて行く強さを持っている。「校閲ガール」の悦子も本作に登場の女性達もだ。だから、私は宮木先生が大好きなのかもしれない。本作はその女性達に時代の枷が掛かり、さらに女性達の心意気を感じる事が出来る秀作である。2017/08/10
らすかる
33
読友さまオススメの作品。「花宵道中」と同じくらい物語にのめり込み揺り動かされました。戦前から戦後までの4編の連作短編集。辛い時代を懸命に逞しく生きる女性たちに圧倒されるは泣かされるは。官能的な箇所もあるけれど人間ドラマの方が濃くて全然イヤらしくない。読後感もよかった!読友さん、ありがとう(;´༎ຶٹ༎ຶ`)もっと早く読めばよかったと思うほど良い作品でした。2019/02/11
冬見
24
大正から昭和、大戦を経て平成へ。時代の波に翻弄されながらも生き延び、愛し、縁を繋ぎ合った女性たちの物語。男女の結びつきよりも女性同士での結びつきにフォーカスされている。今も、時代の風は吹いている。解説でも触れていた正文のあの台詞は作中最も美しい。涙ぐんでしまった。『花宵道中』が好きな人にはおすすめ。2017/02/22
Nat
20
ただの短編集かと思って読んでいたら、4つの小説に繋がりがありました。一つ一つの話もよかったですが、一冊の本としても予想外に読後感が良かったです。2018/08/13