内容説明
１９世紀英国。スーザン・ハンプトンは生粋のレディ。２５歳の誕生日を迎えたが、ギャンブル狂の父親のせいで社交界デビューもできず、結婚持参金もない。そのうえ家まで失うはめになり、伯母の屋敷へ身をよせるが、伯母はスーザンを使用人のようにあごで使おうとする。そんなハンプトン家から逃げ出すためスーザンは、自ら働きに出ることを決意。しかし、貴族未亡人のお付きの仕事を得てコッツウォルズへやってきた彼女をさらなる困難が待っていた。未亡人の気性は激しく、ドラゴンでさえおとなしく思えるほど。そして、もっと危険なのは同じく未亡人に仕えるハンサムな荘園管理人デイヴィッドだった。しゃくにさわるほど魅力的だけれど、身分がちがう彼から求愛されても、受けるわけにはいかず…。苦悩を抱えながらも、美しく強く生き抜く人々を丹念に描いたＲＩＴＡ賞受賞作。
著者等紹介
ケリー，カーラ［ケリー，カーラ］［Ｋｅｌｌｙ，Ｃａｒｌａ］
大学の非常勤講師などを務める歴史研究家。ナポレオン戦争に興味を持ったことがきっかけで、英国摂政期を舞台にしたロマンス小説を執筆。作品数は４０を超える。２回のＲＩＴＡ賞受賞をはじめ、ロマンス・レビューサイト「Ａｌｌ Ａｂｏｕｔ Ｒｏｍａｎｃｅ」のＲｅａｄｅｒｓ Ａｗａｒｄを２回、「Ｒｏｍａｎｃｅ Ｒｅａｄｅｒｓ Ａｎｏｎｙｍｏｕｓ」のＢｅｓｔ Ｒｅｇｅｎｃｙ Ａｕｔｈｏｒおよび、Ｂｅｓｔ Ｒｅｇｅｎｃｙ Ｒｏｍａｎｃｅを２回など、数々の賞に輝く（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ち～
41
ギャンブル狂の父親のため、社交界デビューもできず25歳を迎えたスーザン。自活するため貴族未亡人ブシュネルに仕えるが受け入れてもらえずにいた。出自の怪しげな荘園管理人ディヴッドとの身分違いの恋。スーザンがディヴッドに対し、イギリス貴族にはない魅力を見出したり、愛情に目覚めた瞬間が好き。ディヴッドのアプローチの仕方にもくすぐられる。3人の間で深まっていく絆も良かった。ディヴッドがブシュネルのために、彼女の息子の事でつき続けた嘘、戦場から持ち帰った麦をこの地に実らせようとする情熱など読みどころも多い。2018/09/16
たまきら
36
すごい小説です。ギャンブル中毒の父親のせいで全てを失い、働くことを決意する美女。「働くなんて下品な！」と鼻白む家族の元を離れ、老貴婦人の御付き…という雇用のチャンスを得るが…といった出だし。婚外子で施設育ち、不法移民。しかも大嘘つき！という男子や軍人家族を支えた生き残りであるがゆえ、息子の死へ責任を感じている老女、魅力的な職業紹介所の親子…と、戦後、時代の変化に戸惑いつつも凛と生きる人々の描写が素晴らしかった。いやはや最後泣いてしまいましたよ。今年読んだロマンス小説の中でもピカイチです。2018/09/09
すもも
18
★★★★★ ああ、良かった。ヒロイン父が今後どんな形でウィギンズ家にかかわってくるのかとても心配。この一家の今後を描いたら大河ドラマにでもなりそうです。いえ、すでにこの作品の中だけでロマンス小説のカテゴリを超えているかも。ジェーン・オースティンのように長く読み継がれていってほしい物語だと思いました。2013/11/23
veri
16
どうして著者のヒーローはこんなにも素敵なのか！と言いたくなります。優しさや穏やかさが、強さになることを教えてくれる気がします。また、スーザンの悩みは誰もが経験あるんじゃないかと思います。でも誰もが克服できるものではありません。偏見や身内だからこその憎しみなど共感する部分がたくさんあります。二人の関係性はリアルでありながら理想的ですね。ロマンスもふんだんにありながら人としての成長が散りばめられたこの作品。嵐に見舞われても、いつかはまた立てるようになる。そんな希望を抱かせてくれました。^_^2013/12/01
菫子
15
1820年英国。身分を乗り越えるロマンスだけでなくワーテルロー戦の心の傷を乗り越えた先に美しい小麦畑が見えます。まるで映画のようにひとつひとつのシーンが色鮮やかに胸に迫ってきました。邦題も美しくてラストでは胸がいっぱいです。これは名作。1997年度RITA賞。 （原題 The Lady's Companion）2021/03/11
