内容説明
百姓の家に生まれた徹之助は、地主の娘・おあゆとの恋を成就させ夫婦となる。さらなる幸せを夢みた二人は、高値で売買される干椎茸を元に、江戸で商売することを思いつく。ひとり高級料理店の門を叩く毎日を送っていた徹之助は、姉を殺されたという占い師の女と出会う。金、女、誇り…。男達の野望が渦巻く江戸で、一旗揚げることができるのか。
著者等紹介
鈴木英治[スズキエイジ]
1960年静岡県生まれ。明治大学経済学部卒業。99年、「駿府に吹く風」(刊行に際して『義元謀殺』に改題)で第一回角川春樹小説賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シュラフ
13
伊豆の水呑百姓であった徹之助は自らの知恵と勇気と行動力で本百姓となる。そして可愛い妻子を得て、難しい椎茸の栽培にも成功する。そして椎茸の売り込みのためいよいよ江戸に出る。都合よいストーリー展開に鼻白む感がなくもないが、若者が努力で成功を勝ち取る姿は美しいから許せる。料理店への椎茸の売り込みには成功するのだが、伊豆に残してきた妻の様子が少しおかしくなりはじめる。一方徹之助もまた江戸で女と寝てしまう。肝心のやっちゃばの話がまだ出てこないのだが、この先いったいどういう展開になるのだろうか。2014/10/25
あかんべ
3
いよいよ江戸に出てやっちゃ場に近づいた。侍の剣劇もない商いの話は、作者の中でも特異な作品。中で捕り物を挟んだりすると、名前から他のシリーズを思わず連想するが、事件が後々どう関わるのか楽しみです。お民との関わりも気になった。徹之介には一言、バカって言いたい。2012/02/25
山内正
2
奈古屋村で一山借財して椎茸栽培を 始めた哲之助は今年の椎茸の出来栄えに苦心し売り捌く段取をするが 江戸から急な注文が来た 出来た椎茸を納めようと江戸に行くと手違いだと納品を断られ 挙げ句村の倉庫の在庫品を何者かに 襲われ奪われた。 やった奴は検討つくが新しい客を探すうち占いの女に出会い商売の 見当がついた 己の才覚に自信があるが何か心許無い気持をお弓に悟られる。 商運道半ばで哲之助は心が揺れる。2018/04/28
gachi_folk
1
シリーズ物なのだが要素が多すぎて、ちょいとゴチャゴチャしてる。「やっちゃ場」を主軸とした話しを読みたいのだが期待薄かも。少々残念。2012/09/21
ひさか
1
登場人物達のストレートな考え方が痛快な鈴木さんの時代小説は、今回も健在です。 立身出世ものがたりという感もあるこのシリーズですが、推理もの要素もあって楽しめました。 副題の「胸突き坂」というのが読み落としたのか、何かわかんないままで、心残りです。2012/04/04