内容説明
半兵衛は若くして、右に出るものがいないほどの剣の達人。御家への忠誠心も人一倍強い。しかし、戦の度に、亡くなった家臣を数えては眠れない夜を過ごしていた。そんな半兵衛に、ある人物暗殺の命がくだり、そうとは知らず家督騒動の陰謀に巻き込まれていく。「生きたい」という想いと使命の間で揺れ動く、武士の心情を綴った傑作時代小説。
著者等紹介
鈴木英治[スズキエイジ]
1960年静岡県生まれ。明治大学経営学部卒業。99年、「駿府に吹く風」(刊行に際して『義元謀殺』に改題)で第一回角川春樹小説賞特別賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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onasu
14
駿河今川家の家督をめぐっての花蔵の乱(勝者は後の義元)を材とした作品だが、主人公は有力者に与せざるをえず、しかも剣術に優れているが故に危ない橋を渡る命も否めない小領主。忍び込みの鮮やかさや敵との死闘、はたまた詳細には知らない乱の顛末には、読む手が止まらないが、駆り出された戦で配下を失っていく悲哀も綴られていく。 甲相駿の長きにわたり繰り返される和戦は、この時代の興味の尽きない箇所で視点もおもしろいが、主人公をキーマンにし過ぎているような。執筆のきっかけとしては、主人公と題材、どちらが先だったのだろう。2018/10/02
蕭白
9
史実では敗者の側に立つ主人公がどう生き延びていくのか、とても興味深く読めました。骨太な感じの物語が思っていた以上に良かったです。2019/02/09
gachi_folk
4
堪能した。時代物にミステリーの要素かわ多く含まれてる作品はあんまし得意じゃないが、これは別格。出抜(すっぱ)の絵描き方も見事だ。堪能した。2012/07/22
わたしは元気
3
以前読んだ、義元、遼たり と反対側から描いたお話。 面白かった。2022/01/05
市之丞
2
久々に小説を読んだ!!という気がする。 終始重い空気の中で話が進んでいくが、これは良い。特に終わり方がいい。 口入屋の様な話の方が読み易く売れるのだろうが、こういう小説も多く書いて欲しい。流石、鈴木英治と言える一冊でした。2014/06/27