内容説明
「コンペニー」「コルポレーション」「バンク」を創り、新たな国家システムを構築した“富国共栄”の設計者・渋谷栄一。「経済の平和は民心の平和に基を置かねばならぬ」ことを信じた男の発想力、行動力の源泉とは何だったのか?現代社会にも通じる混乱と閉塞を駆遂し、改革を断行した不世出の経済人の生涯を描き切る歴史巨編。
著者等紹介
津本陽[ツモトヨウ]
1929年和歌山県生まれ。東北大学法学部卒業。78年、「深重の海」で第七九回直木賞、「夢のまた夢」で第二九回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジェンダー
41
ここまで私利私欲がなくこの国ために必要な事業だと判断してもこれだけの膨大な会社の設立に関われないと思います。もちろん今の時代とは違い何もかもやらないと行けないという状態だったといえ先見の明と言うかヨーロッパを見て来て日本にも必要だと感じたのかそのまでの愛国心を持った人がいるのだろうか。また自分がやらないと行けないと感じる人でなければ今の日本はなかったかもしれないと思いました。日本国内で出来るに越したことはないけれど出来なければ外国に頼るしかないと考えれる人。分け隔てなく判断出来るのはすごいと思います。2014/06/08
koji
21
下巻は、下野後殖産興業に邁進する姿を描きます。大河ドラマの観点からは渋沢栄一は稍地味ですが、小説で読むと興趣が尽きない人物でした。中でも印象に残ったのは栄一と従兄弟の喜作の間柄。二人は気脈を通じていますが、性質は真反対。栄一は何事も一歩ずつ進むが、喜作は一足飛びに利を求める人物。後半生では、喜作は栄一に迷惑をかけ続け投機心を捨てきれないまま亡くなります。唯喜作にとって子孫に人材を得たことと栄一が生涯見放さなかったことが救いでした。しかし生死の境を共にした二人の絆は、栄一にとっても生きる糧だったと思いました2021/06/08
衛兵
21
みずほ銀行、王子製紙、東洋紡、東京ガス、IHI、日本郵船…etc.彼がその創設時に関係した企業はあまりにも多く、いかに彼がバイタリティーに溢れる人物だったかが描かれていく。しかし、それはあくまで日本の産業発展のためであり、私服を肥やす事には興味がない。近代日本の成長に欠くことのできない人物だったことはよくわかったが、明治政府を去り下野したキッカケが尾去沢鉱山事件だったのは興味深かった。2017/09/09
Totchang
15
下巻では数ある関与した企業での活躍を紹介しているが、もうありえない量であって独りの人間業とは到底思えない。『自己はまったくこの会社の公僕であるということを寸時も忘れてはならぬ』。論語とキリスト教、「己の欲しないことを他人に施してはならぬ」と「わが受けた心地よいことを他人に施せ」の違いを、謙遜、謙譲の気持ちの有無ではないかとしています。この辺り、今の政治家、経済界によく考えてほしいものです。孫文と彼亡き後の蒋介石との会見で、その点をこの論語の教えを口にしたとの記述に、最も心を奪われました。2021/01/19
dexter4620
11
日本有数のビジネスマン。数十社の役員を兼務するその時間と各社への配慮はどのように成り立つのだろうか?ただのワンマン社長ではなく、人徳も名声も高い。日本の発展を導いた人物であり、1万円札の肖像になるのも本書を読んで良く理解できた。2019/11/03