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幻冬舎文庫
村上春樹 イエローページ〈2〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 266p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784344408463
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0195

内容説明

四百万部を超えた大ベストセラー『ノルウェイの森』のカバーが赤と緑だったのは、この二つの色を合わせると「黒」になるからだ。つまりこの小説は「鎮魂」の書なのだ―。このような大胆な仮説だけにとどまらず、村上春樹の長編を鮮やかに腑分けし、感動の震源地がどこにあるかを説明する。不毛な文学論争に一石を投じるハルキ研究の決定版。

目次

第1章 世界への回復・内閉への連帯―『ノルウェイの森』(内閉からの回復;三角関係の無重力性 ほか)
第2章 高度資本主義社会の洗礼―『ダンス・ダンス・ダンス』(ちぐはぐな印象;高度資本主義社会とマクシムという主題 ほか)
第3章 砂漠は生きている―『国境の南、太陽の西』(色の物語;島本さんとイズミ―いくつかの指標 ほか)
第4章 おぞましさと啓示―『ねじまき鳥クロニクル』(物語と小説の分裂;個人の核の分裂と新しい描法 ほか)
あとがきにかえて―『ねじまき鳥クロニクル』第3部への10年後の追記

著者等紹介

加藤典洋[カトウノリヒロ]
1948年山形県生まれ。東京大学文学部仏文科卒。早稲田大学国際教養学部教授。文芸評論家。「言語表現法講義」で第十回新潮学芸賞、「敗戦後論」で第九回伊藤整文学賞、「テクストから遠く離れて」「小説の未来」で第七回桑原武夫学芸賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

33
今更ですが、表面上は加藤典洋の著作にもかかわらず、加藤の文体を持っていないことに気付きました。これが意外と良いのではないか。加藤と村上春樹は1歳違いであまりにも近く、批評の引力に引き寄せられてしまい、かえって次の村上のテクストが読めない事態に陥っていましたが、これだけフラットに展開されない文章の最後の方に結論だけは箇条書きの様に書いてある。村上の次作が出ると、加藤が読まない村上小説が存在するということになりますが、ずっと加藤の批評を読んでいた読者からすると奇妙な事態だと言わざるを得ません。2021/02/26

Arowana

6
(メモ1)以下の総括が印象的で読み応えがありました。非常に満足です。“「構造的な文学状況の変質」と加藤が指すものが、もし本当に「構造的」な「変質」であるならば、それはそれを実定的に語る言葉がいまだ存在しないような変質でなければならないだろう。(中略)私たちが「共に欠いているもの」とは何か?それは「存在しないもの」であるにもかかわらず私たちの生者のふるまいや判断のひとつひとつに深く強く関わってくるもの、端的に言えば「生者たちの切迫」という欠性的なリアリティである。(中略)死者が「存在するとは別の仕方で」生者2017/03/18

なつのおすすめあにめ

5
スティーヴン・キングやデヴィッド・リンチなど、自分が実際村上春樹作品を読み進めていて頭をよぎった固有名詞が出てきて、オッとなりました。『ねじまき鳥クロニクル』と『国境の南、太陽の西』はバブル崩壊の影響を受け、ホラーテイストが長編に現れるという流れで、これはわかりやすいですね。『ノルウェイの森』と『ダンス・ダンス・ダンス』は、読んでいて、読みきれていなかった所も府に落ちた。もちろん、読んでいてどう感じるかを重視してもいいのですが、作者と同じかそれ以上に時間と労力がかかった考察は読み応えがありますし、楽しい。2020/06/17

χ

2
解説本は見方を引きずられるから敬遠してるが巻末に内田樹の文が載ってたので買った(百円だったし)。深読みが面白く尤もらしい。『国境の南、〜』で島本さん(イザナミ)から逃れず抱き取り現実へ連れ帰る、という比喩には感動した。古典を発展させるのっていい。昔話を作り変えるのは芸人のバカリズムのネタでいいのがあったなあ。本当に優れた作家はその時代があまりに欠けてるものを書く、という内田先生の考えは卓見だ。そうでないと心の奥に届かないんだろう2016/01/24

ばー

2
われらが加藤典洋の村上春樹研究本、その2。『ノルウェイの森』に対する読解及び批評が秀逸。連綿と続く春樹さんの物語に対する姿勢、思想の一つの解が、鮮やかに示されている。「まあ、そういう読み方もあるわな」というスタンスを失っていけないのはもちろんだけど、やっぱこの説得力には、深く納得せざるを得ない。2009/11/23

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