出版社内容情報
「偽ドル印刷機を奪還せよ!」陸軍諜報部員に密命が下った。占領下の日本で「日・米・ソ」の壮絶なるコンゲームが始まる。
内容説明
1943年初頭、陸軍参謀本部は戦局転換を目的としたアメリカ経済打撃策「米ドル紙幣の偽造計画」を開始。だが、実行を目前に第二次世界大戦は終わり、偽ドルの原版と印刷機は陸軍特殊部隊によって破壊・隠蔽されたはずだった―。1947年夏、東京で起こった殺人事件の現場で旧陸軍が製造したと思われる偽造ドル紙幣が発見された。消滅したはずの計画が露見することを恐れた日本政府は、印刷機回収のため秘密裏に捜索を始める。手がかりは当時、印刷機破壊を命じられたまま行方不明となった6人の将校。しかし、そこにはGHQによって巧妙に仕組まれた偽装の罠が待っていた!!
著者等紹介
岡田秀文[オカダヒデフミ]
1963年東京生まれ。明治大学卒業。1999年「見知らぬ侍」で第21回小説推理新人賞を受賞し、2001年『本能寺六夜物語』で単行本デビュー。2002年『太閤暗殺』で第5回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。その後、時代ミステリーや歴史小説の秀作を次々と発表し注目を浴びる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
86
帯に騙し合い!とか書いてる作品は、賢くない人物が安易な罠に嵌るだけだったり、ちょっとした引っ掛けをオーバーに宣伝してたりするが今回は著者岡田秀文の力量を信じて読んでみた。やはり手堅い。すべての人物が一癖あって信用しきれないし、いくつもの勢力が入り混じり駆け引きありで読んでる方も油断出来ない。マクガフィンの使い方がたいへん巧み。真相が二転三転する仕掛けや派手な見せ場を盛りこんであるわりにいまいち楽しくないのは人物に対して突き放しすぎる描きようか?主人公グループはもっと感情移入できたらさらに盛り上がったかも。2015/08/10
そうたそ
27
★★☆☆☆ 第二次世界大戦中に計画されていたというアメリカ経済打撃策の「米ドル紙幣偽造計画」だが、終戦により計画は破綻し、それとともに偽ドルの原版・印刷機は破棄・隠蔽されたはずだったのだが、戦後東京で起こった殺人事件の現場でその偽造ドル紙幣が発見された事態は思わぬ方向へ――。謀略もの歴史サスペンスという感じだろうか。設定はすごく魅力的で面白そうなんだけれど、いまいちその設定を活かしきれていない気がするし、その割にはストーリーもこねくり回しすぎているようでもある。色々と惜しい一冊だなあ……。2015/11/16
遊々亭おさる
14
戦局が悪化の一路を辿る大平洋戦争末期、日本軍は米経済の混乱を狙い、偽ドル札作りを密かに行うが作戦実行には至らず終戦を迎える。ところが、軍によって葬り去られたはずの偽ドル紙幣が殺人が起こった楽器店から見つかった。隠蔽を図ろうとする日本政府の意を受けた陸軍中野学校出身の隼武史郎が調査に乗り出すが…。戦争末期から終戦直後の時代は魑魅魍魎どもが跋扈する胡散臭げな話の宝庫に思え、ミステリ作家よ、もっと食いつけ!と思うが、やっぱりミステリも魅惑的な謎だけではつまらない。心動かされる人物を!と思った作品でした。2015/09/24
KEI
12
時代背景や、設定と言った所は、好みど真ん中なのだが、ちょっと凝りすぎた感が否めず、スッキリとストーリーに入り込めなかった(^_^;) もう少し、シンプルにまとまっていたら、そこそこ面白い作品になっていたと思う。2015/09/13
だまし売りNo
8
本書からは米軍が日本の支配者であり、「お上」であり、それに逆らえない日本政府の実態が浮かび上がる。これは現代日本の対米従属に続いているのだろう。本書は日本側がGHQの上を行った形で終わっているが、実行したことはGHQの作戦を手伝って共産組織を潰したことに過ぎない。米国の利益に対抗して、日本国民の利益を守ったわけではなく、米国の支配を強化するだけである。これも現代の対米従属保守のあり方に重なる。 2018/11/25