内容説明
これまでの日本人論で「日本人の特殊性」といわれてきたことは、ほとんどが人間の本性にすぎない。世界を覆い尽くすグローバリズムの中で、日本人はまったく「特殊」ではない。従来の日本人論をすべて覆すまったく新しい日本人論。
目次
ほほえみの国
１ ＬＯＣＡＬ（武士道とエヴァンゲリオン；「日本人」というオリエンタリズム；「愛の不毛」を進化論で説明する ほか）
２ ＧＬＯＢＡＬ（グローバリズムはユートピア思想である；紀元前のグローバリズム；「正義」をめぐる哲学 ほか）
３ ＵＴＯＰＩＡ（「大いなる停滞」の時代；ハシズムとネオリベ；電脳空間の評判経済 ほか）
著者等紹介
橘玲［タチバナアキラ］
１９５９年生まれ。作家。早稲田大学卒業。２００２年、金融小説『マネーロンダリング』（幻冬舎）でデビュー（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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なかしー
100
日本人の奇跡の経済成長で注目された「恥」、「和」、「表と裏」はアジア系農耕社会の特徴であり、日本人特有ではない(相対化) 輸入された日本論:ルースベネディクト「菊と刀」⇒西洋人と日本人の「差異」の部分にフォーカスした著書。隠れた部分⇒米人類学者ハルミ・ベフは日本人とアメリカ人はそんなに違わない。 戦前は貧しい国かったので「生計を立てる」ために他国を植民地化することを「得」としアジア進出を推進。対して、戦後は戦争することが「損」とし他国に侵略されても武器を取らなくなった。極めて世俗的民族なのである。2020/07/20
パフちゃん＠かのん変更
83
盛り沢山な内容で付箋だらけになりました。執筆の動機は3.11の大震災と福島第一原発事故。「日本の被災者は世界を感動させ、日本の政治は国民を絶望させた」。著者はイーグルハートが行った世界価値観調査をもとに、日本人の特徴はきわめて世俗的（現世利益中心主義）で、反権威主義的で、そして個人主義的な「利に聡く自分勝手な」国民だと主張している。日本人は「空気」を読んで行動しているが「水」が差されば直ちに行動様式を変える。この世俗性の高さを維持したまま自由な自己表現のできる社会を作ることが日本人に残された希望である。2016/08/12
ごへいもち
51
冒頭の世界の価値観ランキングなどの統計評価がとてもびっくりで今までの橘本と違って楽しかった。日本人ってなんて特異なんだ。本全体は政治経済の基礎知識が無いので読むのが大変だった。以前から気になっていたけど、橘玲ってどんな人だろうとネットサーフィン。宝島の編集長だったとか。ペンネームからもっと細いイメージだったけど…。YOUTUBEで聞いた声はイメージ通り。これからは顔出しもされるそうなので露出が多くなるかな。あとがきで著者のことがまた少しわかってきた。私って本当にミーハーｗ2013/05/31
シュラフ
39
新聞の表紙から社会面・文化面までの世の出来事を体系的に理解することができる力を得たい、というのが私の願い。どうやら橘玲という人が、私の願いを叶えてくれそうな気がする。この本は日本人について論じている。幾多の日本人論はあろうが、ここまで総論的に論じたものはなかろう。経済という下部構造をグローバル経済からミクロ経済までを経済史を絡めながら理解させ、その上にたつ上部構造たる我々の社会を政治・哲学・文化・歴史などの観点から幅広く読み解いていく。日本人というのはどういう民族で、我々はどう生きるべきかのヒントになる。2017/07/16
Ｍａｉラピ
36
読むのに時間がかかりましたが、充実の読後感。作風・プロットスタイルはマルコム・グラッドウェルさながら。本書執筆の動機は3･11大震災と原発事故後にクリアになった（日本人）の考察。日本人は世界でも稀な極端な世俗性（現世利益中心主義）で個人主義、そして文化的遺産に桎梏されてる。そんな日本人の未来は・・・。グローバリズム、ハシズムとネオリベとＷＥＢ２．０、山本七平の空気と水、欧米との比、経済・政治など多様なテーマでアプローチして日本人を読み解く。2012/06/26
