時の尾

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  • サイズ B6判/ページ数 273p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784344018211
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

20年に及ぶ内戦が残したのは、荒れ果てた街なみと、多くの難民、そして孤児だった―。ヤナギは、元少年兵たちの集まる自治区の片隅で暮している。小柄で細身な見た目に反し、戦場での経験から人を傷つけることに一切躊躇いを持たない彼は、歓楽街で売春婦のボディガードとして雇われていた。一杯の粥を仲間と分け合い、麻袋を被って眠る日々。生き延びることしか望めない場所にいても、ヤナギには、決して忘れられない人がいた。

著者等紹介

新藤晴一[シンドウハルイチ]
1974年広島県生まれ。ロックバンド・ポルノグラフィティのギタリスト。99年『アポロ』でメジャーデビュー後、「ミュージック・アワー」「サウダージ」とヒット曲を連発、一躍トップアーティストの仲間入りを果たす。2009年には初の東京ドームライブを大成功させた。今年10年には8枚目のアルバム『TRIGGER』でオリコン・アルバムチャート週間1位を獲得。ポルノグラフィティとして発表するシングル曲の多くの作詞を手掛けるほか、他のミュージシャンへ詞の提供も積極的に行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

紫伊

23
久しぶりに再読して思ったのはこれは作者の好きな世界観と物が詰まっているのではないかということ。内戦で生き残った元少年兵のヤナギ、友人トモヲ。娼婦として生きるユリ、そして寂れた街で生きる人たち。それぞれ暗い過去がありどこか淡々とした印象。でも大切なもの、手放したくないものは確かに在って。それを掴もうとする少年とその姿に感銘された彼女が印象的だった。好きなのは徐々にバイクが出来ていくところ。それは祈りにも近かったのかもしれない。ラストの爽快感も気持ちよい。2020/01/18

きき

17
ポルノグラフィティ・晴一さんの処女作。内戦直後の荒廃した街で暮らす元少年兵・ヤナギが主人公の物語は、どこか「カルマの坂」の世界観を思い浮かべる。晴一さんらしい言葉の並べ方は痛々しい現実と艶かしい幻想を混ざり合わせ、混沌とした雰囲気をくっきりと描いている。幼い頃に別れた姉との再会を胸に生きるヤナギの日々は必死さも無くただ諦めが入り混じった陰鬱としたもの。それは彼を取り巻く人々も同じなのだけど、段々ヤナギすらも気付かない内に、彼が周囲に「生きる意味」をもたらし、細やかに、でも確実に活気付く様子が不思議だった。2020/01/02

紫伊

17
芸能人などが書かれた本は作家には勝てないのではないかという偏見があり、敬遠しがちだったのですが、ポルノグラフィティの晴一さんの作詞がすきなので手を出してみました。好きな世界観の一冊でした。戦後、戦争の傷跡を抱える少年少女たちが主人公で大人のようには順応できずあがく姿が切なかったです。何人かの目線で描かれ、それぞれの目に映る世界はどれもつらい世界でした。しかし、その世界で生き抜く姿はかっこよく、物語の勢いと一緒に一気に読んでしまいました。いろいろな方が言われていますが「カルマの坂」の世界観に似ているなぁと思2014/09/15

11
★★★★☆《見る、でも、見ない、でもなく、存在から目を背ける。》長い紛争が終わり、売春婦のボディーガードをしている元少年兵・ヤナギ。旧市街の隅で貧しく暮らす彼には、忘れられない人がいたー ポルノグラフィティ新藤さんのデビュー作。薦められて読みました。句読点が多かったりして読みづらい部分もあったけど、慣れてきてからは引きこまれた。カルマの坂とリンクするところもあって、歌詞との違いを楽しめました。それぞれが、しっかりと明るい未来を手にしているといいな。2018/03/24

伊織

9
ハルイチさん、こんなの描かれちゃうんですかぁ~とミーハー心により読んでみました。処女作らしいですね。うん、暗くて重い話ではあるけれど、ラストがよかったです。文章も読みやすくて綺麗でした。2010/08/08

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