破裂

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  • サイズ B6判/ページ数 450p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784344006980
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

医者の診断ミスで妻を傷つけられた元新聞記者の松野は、“医療過誤”をテーマにしたノンフィクション執筆を思いつく。大学病院の医局に勤務する若き麻酔科医・江崎の協力を得て、医師たちの過去の失敗“痛恨の症例”や被害患者の取材を開始した。その過程で、「父は手術の失敗で死んだのではないか」と疑念を抱く美貌の人妻・枝利子が、医学部のエリート助教授・香村を相手に裁判を起こす。が、病院内外の圧力により裁判は難航。その裏で医療を国で統制しようと目論む“厚生労働省のマキャベリ”佐久間が香村に接触を始める…。枝利子の裁判の行方は?権力に翻弄される江崎と松野の運命は?そして佐久間の企図する「プロジェクト天寿」とは?大学病院の実態を克明に描き、来る日本老人社会の究極の解決法まで提示する、医療ミステリーの傑作。

著者等紹介

久坂部羊[クサカベヨウ]
大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。医師。2003年、『廃用身』で作家デビュー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

抹茶モナカ

73
医療裁判、老人の医療問題、医局内の人事を扱った小説。いろいろ詰め込んであって、読み応えはある。読んでいると病院不信になって来る。ラストで問題は解決するけれど、全くのヒーローが安っぽく登場しないので、トーンは硬い。2015/09/27

里季

72
大変面白かった。久坂部さんの作品はいくつか読んだがこれが一番面白く読みごたえがあった。とくに医療裁判のやり取りの場面が圧巻であった。詳しくはネタバレになるので書かないが、義母が倒れて意識のないまま3つ目の療養型病院に転院した際、院長先生の言われた、「なかなか死なはらへんで」という憐れみを含んだ言葉を思い出した。義母は亡くなるまで1年3か月も寝たきりであった。長寿社会に鋭く切り込む作品である。2017/03/31

そのぼん

71
手術のミスで患者が亡くなったかもしれないという疑惑に対しての裁判と、医療が発達し、長寿の人が増えたため高齢化社会となった日本の抱える問題を描いた作品でした。何だか途中、登場人物が淡い恋心を抱いたりする場面はむず痒くて必要もない気もしましたが、それ以外は悪くなかったかなと思いました。ちょっと読みにくかったけど、全体的には悪くなかったかなと思いました。2016/04/22

キムチ27

61
元々医療系小説が好きだ。特に久坂部ものは外れなく現実をメスでえぐる。端緒は医療裁判…次第にルポライター、厚労省役人実態、医療現場や閥、介護保険現場まで拡がりを語る。資料を駆使しつつ、筆者がリアルに見聞きした場面と空気が活かされ難渋なまでに語句が散りばめられ、些か困憊。しかし読ませる。ともすると甘い人情味の空気になる介護医療、そして延命や天寿。国家がうみ出した長寿と望ましい死。役人の作文なら腹が立とうが案外、正鵠を射るのかも。ネオ医療センターのアンケートを書く筆者の正論的内容が何やら無気味なほどに★2015/10/14

達ちゃん

57
実話?と思うような医療ミステリー、読み応え十分でした。すごく重いテーマで、色々と考えさせられました。長生きだけが幸せではないのかなあ。ん~難しい。2017/03/19

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