内容説明
香港在住の元・ウォール街のファンドマネジャー工藤秋生は、香港の銀行口座開設の手助けなど、脱税を目的とした、もぐりのコンサルタント業をしていた。ある日、日本の知人からの紹介で工藤を美しい一人の女・若林麗子が訪ねる。「じつは五億円を日本から海外に送金し、それを損金として処理したいのです」工藤に求められたスキーム、それは完全に脱税の指南だった…。そして四ヶ月後、麗子は消えた。五億ではなく五〇億の金とともに。麗子はどこへ消えたのか?金融のことを何も知らないはずの麗子が、五〇億もの金をどうやってあとかたもなく消し去ることができたのか?そして、そもそも麗子が話を持ち込んだ「五億の金」とは、どんな“ファンド”だったのか?金融を知り尽くした新人作家による、驚天動地の“脱税”小説。
著者等紹介
橘玲[タチバナアキラ]
1959年生まれ。早稲田大学卒業。会社役員。「海外投資を楽しむ会(AIC)」創設メンバーの一人
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コリディ
10
8点。最近読んだ「マモンの審判」よりよっぽど現実的な小ネタが多く面白い。ただその分メインストーリーや登場人物のキャラが少し弱い気がする。15年以上も前の小説なので、今では通用しないことも多そう。小説中に、ヨーロッパの移民問題が、労働の裁定取引とあったが、脱税とはさしずめ税金の裁定取引なのかな。2019/07/17
KJ
8
結構分厚い本だが(ハードカバー版を中古で購入)面白かったので一気に読めた。だけど後味が悪いと言うか何と言うか…こういう話は現実にもあるのかもしれないが絶対に踏み入れてはいけない世界。金融・海外投資の知識はあまりないので分からない話も多かったが、お金の怖さは充分分かりました。Kindleではなく久々に紙と言うハードで読みましたがやっぱり良いですね紙。2014/05/24
こすとがいん
7
香港在住の若き元エリート銀行員が主人公、わけあり美女と50億円、そして、暗い過去があきらかに・・・・後味の悪いラスト。精神病院のところが?2015/11/16
gokuri
6
こんなに読み応えのある本が、すでに「タックスヘイブン」の前にでてたのを知らなかった。しっかりとした税や金融の知識に基づいてリアルな展開が、読者をひきこんでいく。ラストは説明っぽいが、すべてにけりをつけようとしている著者のサービスとして・・・ 未読の本を探して読むこととしよう。2014/06/05
上田
4
読みやすくて面白かった。ミステリー的な要素もあり。お金で人生を狂わされていく人たち、闇の世界を覗いた気分。自分には全く縁のない話だけど(笑)お金怖い。2017/08/21