悪の誘惑 (新装版)

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悪の誘惑 (新装版)

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  • サイズ A5判/ページ数 285p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784336055354
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

カフカやブランショの先駆をなすとも評価される最も優れたゴシック小説のひとつ。人間の悪魔性を真正面から描き出した幻の傑作。

カフカやブランショの先駆をなすとも評価される最も優れたゴシック小説のひとつ。宗教的狂言、兄弟の憎悪劇、分身などを主題として人間の悪魔性を真正面から描き出した幻の傑作。見事な幻想譚をも収録したこの忘れられたスコットランドの畸人作家の初紹介。

【著者紹介】
1770年~1835年。スコットランドの詩人、小説家。羊飼いを生業としたところから、詩人として成功した後年「エトリックの羊飼い」と呼ばれた。

内容説明

人間の悪魔性を真正面から描き出す苦悩と狂気の物語。生涯羊飼いを生業とした「エトリックの羊飼い」ジェイムズ・ホッグによるゴシック小説、幻の傑作。

著者等紹介

高橋和久[タカハシカズヒサ]
1950年東京都生まれ。京都大学文学部卒業。東京大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

139
これから読まれる方は、冒頭の序文は最後にすべき。ジッドの手によるもので素晴らしい文章だが、その先に続くこの作品の本質のネタバレになっている。この序文の解説に、訳者が最後に読んだ方がいいと書いているけれども気付きにくく、私は最初に読んでしまっていた。だから、展開やその根底にある考えを理解した上での読書となった。作品は、悪の本質、悪の考え方、また善とは、宗教とは?を問うもので、読みながらその正体のわけらないものの存在にゾッとした。悪なのか、悪魔なのか…、とにかく魅入られたら終わりだ。2017/07/04

扉のこちら側

90
2016年1113冊め。【250/G1000】不仲の両親にそれぞれ引き取られた兄弟。城主の父親似の兄は闊達に、母の篤い信仰心の基育てられた弟は厳格に。やがて弟は父への反発心から兄を付け回すようになり、悲劇的な事件を迎える。この事件の顛末を手記と後世の調査で辿っていく形式で、編者と弟(と思しき人物)の独白による構成なのだが、この「弟と思しき人物」というのが重要である。悪魔的存在の話だとも、狂気の話だとも、この上ない信仰の話だとも捉えられる。(続)2016/12/19

HANA

33
古いゴシック小説というと型にはまった古めかしい舞台が多く、いささか読むのに辟易する部分もある。本書も幾分覚悟して読み始めたのだけど…いや面白い、特に第二章に入ってからは一気に引き込まれてしまいました。全体は三章に分けられていて、最初に事件が外側から解説され次いで登場人物の告白となっているのだが、この構成が実に上手く使われている。そしてこの告白にしか登場しない人物が実に魅力的。主題自体は『マンク』と軌を一にしているのだが、こちらは自分の行いを正当化したままなので「悪」の凄みがより一層感じられるように思った。2012/10/08

kasim

31
悪魔にもっとも目をつけられるのは、自らの信仰と正義に絶対の確信を持っている人間だ。夫婦の関係、兄弟の確執、三つの土地の境界(か別の場所)に埋められた自殺者の遺体など謎はどれも真相不明。スコットランドの荒地を逃げ惑うロバートに付きまとう「高貴な友人」も怖いが、一番怖いのは予定説に毒された「義人」。ポーやスティーヴンソンにも影響を与え、三部構成の信頼できない語りの現代性を考えても分身譚の最高峰と言えるかも。しかし訳者の解説がなかったら、「編者」の歪みに気づくのは難しかった。2018/07/18

ヘラジカ

15
第一部では連続する暴力と怪しげな事件の数々に、第二部ではねじくれ歪み切った独白に、まさしく悪魔にたぶらかされるように魅せられてしまった。呪詛と神の言葉が混淆して吐き出される、妖気ふんぶんたる怪奇文学の古典的名作。読み終えた後本棚に戻したが、なんとなく置いてあるだけで不穏な空気が漂いそうに感じた。2016/03/15

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