文学の冒険<br> エバ・ルーナ

文学の冒険
エバ・ルーナ

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  • サイズ A6判/ページ数 401p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336035950
  • NDC分類 963
  • Cコード C0397

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たま

59
イサベル・アジェンデ初読み。この本は彼女が軍事独裁政権のチリからベネズエラに亡命した後書かれベネズエラが舞台。物語の才能のあるエバが早くに母を亡くし様々な女中奉公をする部分は18世紀小説流の流浪譚が延々と続き、構造が無い小説かと不安だったが、だんだん主要人物が浮かび上がりベネズエラの政治と結びつく。ベネズエラの歴史に詳しければもっと面白いのにと残念。それでもエバが出会う多様な人々の描写が印象的で特にトランスジェンダー女性とトルコ人商人のやさしさは心に残った。ベネズエラの内政、今は大混乱で残念なことだ。2024/02/04

まさむ♪ね

46
その人の名前はエバ、生命を意味しているという。生命エネルギーに満ち溢れるジャングルに横たわり、彼女は語り始める。夢のような現実を、現実のような夢を、極彩色の調べにのせて。泥にまみれた純白の翼で密林を飛びまわる彼女の言葉は変幻自在の〈普遍物質〉。愛と革命に彩られたその声は尽きることなくあふれ出し、どこまでも浮遊し続ける。自由を求めて縦横無尽に枝葉を広げる熱帯植物のようにしなやかで、決して枯れることのないその武器は、襲い来るすべての闇を跡形もなく消し去るほどの強い光、勇敢なる女戦士を望む場所へと導いてゆく光。2017/03/05

taku

14
天性の語り部が、天性の語り手を小説内に産み落とした。ヒロインの名前エバ・ルーナのとおり、月の魔力のように魅了し、生命の力が溢れている。南米の一国、その政治的な歴史を背景に、社会の普通枠をはみ出している者たちの人生が交わり重なっていく。偏狭や混沌を飲み込む懐の深さを持って、編み込まれるエバの愛と冒険の遍歴。人は愛を求めている。そして物語を欲している。『精霊たちの家』に続き、アジェンデの天性は疑いようがない。2021/08/23

三柴ゆよし

10
天性のストーリー・テラーであるイサベル・アジェンデが彼女の分身のような語り手エバ・ルーナの愛と冒険に満ちた半生を物語る。単なる幻想の羅列に留まることなく、血腥い現実のにおいを孕んでいる点において、処女作『精霊たちの家』にも似た印象を受ける。アジェンデの小説を読むと、私たちをとりまく現実が、極彩色の宮殿にも、あるいは血の気ないコンクリ楼閣にも変化しうる、きわめて柔軟性に富んだ物質(それこそ本書に登場する万能粘土<普遍物質>のように)としての質感を持っていることに気付かされる。まさしく世界が広がる小説。2011/09/09

Acha

9
「生命」を名に持つエヴァ。確かに全編通して生命力がハンパない。ストーリーを追うというより、あふれ出る言葉や彼女が糧にしていく体験をそのまま味わう濃密さを楽しむ。どうもここでは誰もが自らの信条で、揺るがずに生きていて、禍々しさも当たり前に昇華される。一見流されているようでも、波や風に乗っているようでもあった。絶対これ、ルソーの絵にインスパイアされながら読んでたよな。だからつい夢の先が楽園ならいいと願ったりして。2020/09/18

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