感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
5
「バイロンやキーツのような古典主義的ないし理想主義的方向や…哲学小説仕立てのロマン主義(後略)」を枠外に置き、「自然物が人間に変身する幻想とエキゾティズムの体系」を方針に13篇の作品を集成した幻想集。ユリとバラを擬人化させた決闘の様子を謳いあげる「夏の女王」を巻頭に、亡くなったおじの亡霊が不気味な「ロマー・サウル」小品ながら背筋に寒気を感じさせる「夢日記」大量の原注でリンネの植物分類学を文学に昇華させた異色作「植物の愛」など佳品が多いが、印象に残ったのはその美貌で男たちを狂わせていく「まぼろしの恋人」。2021/06/17