出版社内容情報
太宰治の「家庭の幸福は諸悪のもと」という言葉に感銘しつつ、違和感を覚えていたという著者。その渾身の書下ろし家族論。
家族(対幻想)が抱えるさまざまな問題にどのように対処していけばよいのか。人間の一生の物語をなぞりながら、「家族問題に比べれば政治問題や社会経済問題あるいは社会生活問題なんて、それ自体としてはもっとずっと単純ではないか」と語りつつ、この難問に対し本質的かつ実感的な考察を試みる。
〈目 次〉
序章 家族論の場所
「家庭の幸福は諸悪のもと」/〈対幻想〉としての家族/家族の基本的な構図/思い出のなかの家族/「生涯出生率の低下」を読み解く
第一章 母と子の親和力【乳幼児期】
母親のこころが刷り込まれる/漱石、太宰、三島の「こころの傷」/日本的育児の大切さ/性格形成の大部分は幼児期までに終わる/内省的な「自己慰安」が芸術の本源/考える人が過半数を占めれば、世界は変わる/胎児・早期教育は大きな間違い
第二章 「遊び」が生活のすべてである【少年少女期】
柳田国男の設定した「軒遊び」の時期/遊びが生活のすべてである/子供といっしょに楽しむ/良い幼稚園の条件/子育ての勘どころは二か所のみ/少年少女の事件は親の問題/徹底的に付きあうほか道はない/「プロ教師」には「人格」が見えない/「いい先生」である必要はない
第三章 性の情操が入ってくる【前思春期・思春期】
前思春期と性の芽ばえ/倭建命と折口信夫の関係/漱石の『こころ』をどう読むか/「怖い親父」が登場してももう遅い/父のゲンコツ・母のコツン/「子育ての節約」はありうる/ルソーの「性の躓き」/「性」が本格的に心身に入り込む/性教育などしないこと
第四章 変容する男女関係【成人期】
いつでも「親の世代」に変わりうる時期/広がってきた「性の領域」/フーコーの同性愛理念/マルクスとシュンペーターの考え/家庭内暴力・家族犯罪の凶悪化/森鴎外の作品「半日」の主題/漱石夫人に「殺意」はあったか/いまよりも「女性優位」だった時代/女性はほんとうに解放されたか/「二児制」と絵馬/「性愛」と「家族愛の矛盾/「民営化」問題など簡単な話/わが家は後進的かもしれない/地域の差は種族の差を超える
第五章 老いとは何か【老年期】
身体への本格的な関心/老齢は「衰退」を意味するだけではない/西欧の偉人たちの嘆き/「考えていること」と「じっさいの運動」の距離/七十九歳以降の老齢実感/生涯の本質
補註 対幻想論
内容説明
人生最大のドラマへの実感的考察。混迷する諸問題を読み解く渾身の書下ろし。
目次
序章 家族論の場所
第1章 母と子の親和力(乳幼児期)
第2章 「遊び」が生活のすべてである(少年少女期)
第3章 性の情操が入ってくる(前思春期・思春期)
第4章 変容する男女関係(成人期)
第5章 老いとは何か(老年期)
補註 対幻想論
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寛生
ゲンショウ
るんるん
おしげ
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