内容説明
永見典子は須賀瀬高校一年生。吹奏楽部でアルトサックスを吹いている。父・光太郎は二年前に新宿で不審な死を遂げ、母の瑤子と二人暮らしだ。彼女の行動に異常に口出しする母に、反発する典子。そんな典子の秘密の親友は、彼女のサックスに棲みつくクダギツネのチコだ。譜面が絶対で、部員に命令を強制する顧問の高垣、いやな先輩・柿沢、厳しい練習、理不尽な説教、でも典子は仲間たちとレギュラー・オーディションやコンテストの準備に部活を頑張っていた。ところが、そんな吹奏楽部に、不思議で不吉なトラブルが次々に起こる。典子はチコの力を借りながら、トラブルを解決していく。一方、典子は父の最期の様子を知ろうと新宿に行き、ふと入ったライヴハウスでミュージシャン・坂木新のステージを観る。力強くさまざまなものを自由に表現するその演奏に強い衝撃を受け、典子は未知の音楽の魅力に導かれていく…。事件に、人に、音楽に、出会い、ぶつかり、悩みながら進む少女を描く連作小説。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年大阪生まれ。’93年「落下する緑」が『本格推理』(鮎川哲也編)に入選。同年長編『凶の剣士』(刊行時に『背徳のレクイエム』に改題)が第2回ファンタジーロマン大賞に佳作入選する。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」が第33回星雲賞日本短編部門を受賞。’09年「渋い夢」で第62回日本推理作家協会賞短編部門受賞。ミステリ、SF、ホラー、時代小説などさまざまなジャンルで活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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