内容説明
小さなまちで、男の目を引く「いいからだ」を持て余しつつ大人になった地味な性格のアカリ。色目を使われたり「むんむんちゃん」などのあだ名をつけられたりしない静かな生活を送りたくて、大きなまちに引っ越し、美容関係の仕事を見つけた。しかし、新しくできた屈託のない親友、奇妙な客、奇妙な彼氏との交流が、アカリの心の殻を壊していく―。読む者の心をからめ取る、あやうくて繊細でどこか気になる女のひとの物語。
著者等紹介
朝倉かすみ[アサクラカスミ]
1960年北海道生まれ。2003年「コマドリさんのこと」で第三七回北海道新聞文学賞、04年「肝、焼ける」で第七二回小説現代新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紫 綺
70
屈託のない親友、奇妙な客、奇妙な彼氏との交流が、主人公アカリの心を壊していく。性的に危うく繊細な女性の、淡々として不毛なお話。。でも読み切らずにはいられない、そんな一冊。今まで読んだ朝倉作品とは、ちょっとちがった印象だった。2012/08/19
takaC
40
表紙借りした。不思議な物語だったが、途中で止められず一気読みだった。2011/02/17
ミナコ@灯れ松明の火
29
明るい話なのか暗い話なのか分からない。さくさく読めて軽いようにも感じるけれど、やっぱり深いような気もする。共感できるか?と問われればNOだと思うし分からないことだらけだけれど、後をひく余韻が半端ではない。ずぶずぶと沼に足を取られているような。でも不思議と不快ではない。自分で自分の道を選び取る姿は、共感こそできなくても胸を打つものがあった。2011/08/13
野比玉子
14
アカリは「イイカラダ」を持ってしまったばかりに引け目を感じ流されて常に赦しを得ようとしている。小さなマチでも大きなマチでもアカリには居場所が無かったね。深沢というダメンズにしか赦しを得られないなんて男を見る眼がない寂しい人生。サッサと南の島に行けば良かったのよ。2021/07/29
橘 由芽
12
堕ちていく女・・・傍から見ると「バカだよね」という一言に尽きるけれども、実はわかっていても、どうしようもなく堕ちる方へと傾いていってしまう人というのがあります。これはもう“望んで”堕ちに行っているのではないかと思えてきます。そういう性質なのか生まれ持っての因果なのか、はたまたそれが個性なのか。。。実際世の中この手の話がごまんとありそうです。2017/03/14