内容説明
短篇、掌篇の名手にして、当代最高のアンソロジスト井上雅彦自選短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mii22.
60
本の題名がすべてを表すような一冊。闇のなかに蠢く得たいの知れない不気味なもの、恐ろしいもの、しかし覗いてみたい、好奇心をくすぐる何かがそこに存在する。ふふふ、逃れたいけど絡めとられたい妖しげな魅力。幻想、ホラー、SFの味付けをした大人の童話のようでもある。幻想色と残酷度が濃い「赤とグリーンの夜」「十月の映画館」「白い雪姫」「クリープ・ショウ」「火蜥蜴」が特に好みだった。2018/04/27
*maru*
33
著者初読。短編集(全13話)嗚呼…罪深き異形のものたちよ。奇っ怪で蠱惑的な闇の世界。霧の四辻で妖魔はねっとり囁く、「こっちへおいで」と。幽鬼の笑い声に肌を粟立たせ、怪物の咆哮に咽び泣く。血の滴る恐怖もやがて、耽美な酔いでうっとり泣き笑い。嗚呼…愛しき異形のものたちよ。すべておすすめだけど『赤とグリーンの夜』『十月の映画館』『白い雪姫』『海の蝙蝠』『火蜥蜴』は絶品。装丁、タイトルも素敵です。スパイシーで濃密で大変好みな珠玉の短編集。1日1篇ずつ、大切にじっくり堪能いたしました。2018/03/31
莉玖
9
【初読作家】まず、山本じんさんの装画が素晴らしいですね。それはさておき、久しぶりに素晴らしい幻想小説集に出会えました。一編を読み終える毎に、自分の心の中の闇が深くなっていくような気分でした。一気に読まずに、"一日一編" 等、ルールを決めて読むのがおススメかと。2018/05/06
芍薬
8
なんだか血の滴るステーキと赤ワイン風のお話したちでした。脂っこくて胸焼けするけど食べちゃう。特に「火蜥蜴」は美味しくいただきました。2012/10/31
blue_elephant
6
初読み井上雅彦氏。私の大好きなジャンルの耽美、ゴシック、幻想、怪奇とキラキラするような言葉で溢れている短編集らしいが、なんだろうか、ひとつひとつのお話に違和感を感じる。ラヴクラフトやパスカルス、ヒエロニムス、ナイトメアなど作者の知識に溢れているが、広がりを感じない。最初の短編「赤とグリーンの夜」に“有線放送から流れるムード・ミュージック”という文章に興醒めするし、物語の舞台がとても日本的でお粗末。本帯の皆川博子氏の言葉と祖父江慎の装幀が素晴らしすぎて、なんとも残念でならない。ごく私感であります。2020/09/06