出版社内容情報
なぜ自分は見知らぬ女と子どもを、妻と息子だと思っていたんだろう――。小説宝石新人賞を受賞した新進気鋭の作家による戦慄ホラー。
内容説明
男はリビングでくつろいでいる。キッチンでは妻が夕食の支度をしている。幼い息子は冬でもないのにマスクをつけて、テレビ番組を見ている。男はキッチンへビールを取りに行く。妻の作っている料理に「美味しそうだね」と声をかけ「息子は風邪でもひいたのか?」と聞く。そしてふと気づく。自分たち夫婦に息子なんていただろうか?そして妻を見て驚愕する。誰だ、この女は?なんだ、この大きなマスクは?日常が奇妙に歪む、戦慄のノンストップホラー!
著者等紹介
井上宮[イノウエキュウ]
1961年、愛知県生まれ。2016年、「ぞぞのむこ」で第10回小説宝石新人賞を受賞。’18年に受賞作を収めた連作短編集『ぞぞのむこ』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
166
びちゃびちゃ、ずるずるずる…最近よく周りから肥えたとギョッとされる。「あっ、ご飯だ」でも新築な家に帰れば最愛の新妻が待っている。ウケケケ。黒くて大きなマスクをつけて息子とともに…いや我々に子供などいたか!?何やら聞こえる低い声高い声。おかあさんがまたまちがえた。おかあさんはのうみそちいさいから。あ、お母さんが呼んでる!二ーと響く音の先には裂けた口からでろでろと出てくる〈じょかい〉の脅威。生肉を喰らいひたすら乳を出しふとらせ食べるのも全部あれをするため…しっぱいしたけどだいじょうぶ。あたし、しんかしたから…2021/01/01
モルク
122
「ぞぞのむこ」では、何かえたいの知れないものの怖さ、薄気味悪さがあったが、本作では結構説明も多く、その分突っ込みどころもたくさんあった。連絡をとれなくなった兄を訪ねていく弟。兄の家には、兄嫁ではない大きな黒いマスクをした見知らぬ女と、新婚家庭にはいるはずもない子供が…。兄は見間違えるほど太り、液体状の食べ物をむさぼっていた。主人公(弟)の愚鈍さにイラつく。いっそ、主人公がかわる連作短編集にした方が飽きがこず面白かったかもしれない。怖さよりも気持ち悪い系。2021/05/29
よつば🍀
108
うぐぐ、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ちが悪い。女の怪物・じょかいと高音・低音を使い分ける二重人格の少年・祥太。平凡な日常を送っていた男達が、じょかいと祥太に関わる事で変貌を遂げて行く。豊満な胸を持つじょかい、その胸の先端にある穴から溢れ出す得体の知れない流動食を貪り食いつくし肥満化して行く男達。心理的ホラーではないので背筋が寒くなる感じはないが、ただひたすら気持ちが悪い。日常のシーンが合間に描かれる事で地続きの恐怖を感じる。じょかいの目的が明かされる結末にぞぞっ。脳内でまだミミズが蠢いている。ウケケケケ。2021/01/20
ちーたん
100
★★★★☆【都市伝説レビュー】「ねぇねぇ“じょかい”の噂って知ってる?」『🐶知らな〜い』「“じょかい”に憑かれるとぶくぶく太るらしいよ」『ヤダッ😰』「でねそのうち忽然と行方不明になっちゃうんだってー」『😱』「ただ気を付けないといけないのは…」『!!』(了)◆疎遠だった兄夫婦宅を訪れる事になった俺が目にした異様な兄の姿にマスクを付けた見知らぬ女と子供。嫁はどこへ?女はいったい?B級感満載ツッコミまくりエンタメホラーwあなたの周りで急に肥えだした人いたらそれはひょっとしてひょっとするかも?!⚠w2021/03/30
★Masako★
88
★★★✰︎ いいね~! グロい、気持ち悪いのオンパレード!エピローグから惹き付けられる!音信不通になった兄を心配した母からの電話で、久しぶりに兄の家を訪ねた健次。家には真っ黒い大きなマスクをした男の子と肥大化した兄。そしてこれまた真っ黒い大きなマスクをした女が…二重人格のような男の子、女が作った異臭のするドロドロしたものを食べ続ける兄。何とかして兄を助けようとする健次だが…。突っ込みどころはあるしどのキャラにも好感は持てないけど、面白くてほぼ一気読み!ラストも不穏で救いなし(笑)! 合言葉は「ウケケケケ」2021/02/03