内容説明
欠落した記憶を抱え、殺人現場の写真に執着を持つ青年と、心を閉ざして、理想的な優等生を演じつづける孤独な少女。進学塾の屋上で出会った二人が見つめる恐ろしくも哀しい事件の真実とは何か?そして、少女のつけた巨大なヘッドフォンのコードは、どこにつながるのか?冷徹なまでに美しい本格の論理で解かれる最大の謎は、エンドロールのあとの二人の未来―。
著者等紹介
三雲岳斗[ミクモガクト]
1970年大分県生まれ。横浜市在住。’98年に『コールド・ゲヘナ』で第5回電撃ゲーム小説大賞“銀賞”を受賞し、デビュー。’99年に『M.G.H.楽園の鏡像』で第1回日本SF新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ちょこまーぶる
66
読み進めていくうちに徐々に引き込まれる一冊でした。斎宮冥という家庭の事情で優等生を演じて、学校以外では自分の本当の姿で純粋に過ごしている美少女と冥の監視役?として雇われた大学生の今の関係とその後の関係を予想することができる何ともいい感じな話でした。ミステリの部分は、解説で有川浩さんが述べているように「どうでも良い」とは思えず、それなりに緻密な論理展開だったように思えるが、読んだ人によって違った感想を持つのかもしれないですね。それにしても、今後二人のヘッドフォンのコードは同じ世界に繋がっていくのであろうか?2015/04/28
マーム
57
表紙のイラストに惹かれて購入したわけですが、その表紙を飾る斎宮瞑にすっかり魅せられてしまいました。巻末の解説で有川浩氏も言っていたように、まさに「ザ・キャラ読み」となってしまいました。2010/05/12
た〜
55
連作短編のミステリー。優秀な美少女の探偵役といささか頼りなげな助手(語り部主人公)というテンプレだけれど、そこは嫌いじゃない。でも面白いとは思うのだけれど、トリックや心理描写が納得しきれなく、いまいちすっきりしない。2016/05/09
おかむー
49
欠落型天才ホームズ女子と、理屈ぬきに傍仕えを許されるワトソン主人公という設定は、最近ではありふれてて目新しさには欠けるよね(´・ω・`)『もうすこしです』。ミステリとしても読者に開示される情報はごく一部で、核心は謎解き部分でしか明かされない、そんな事件の背景はどれも欝方向なので読後感はよろしくない。そんなこの作品ですが解説の有川浩によってボーイ・ミーツ・ガールとの解釈がされることで見方は変わる…のは確かだけれど「え~?それはあくまでも有川浩の解釈であって作中じゃわかりづらいよ」とツッコミたくもなるのですよ2014/08/21
くろり - しろくろりちよ
44
ごっついヘッドホンの少女瞑と、その専属講師という名の世話係スカ。スカが人形のように無気力な瞑に謎を語り、瞑は見事に解決してみせる。その時の瞑はどことなく楽しそうで、自分を縛っている優等生の姿や死体のように気だるい無気力さが一時消える。謎解きは古典をなぞったものなど、それなりではあるが、人物の心の動きが楽しめる。もっと深く掘り下げてほしくはあったけれど…瞑、高校卒業しちゃうしここでお終いなのが残念。2012/06/26