内容説明
昨夜のことが忘れられず、佳代子のアパートを訪ねた元刑事の久保。しかし、そこで彼が見たのは、佳代子の無惨な死体だった。たった一度だけの関係によって、無実の罪で七年の刑に服した久保は、出所後、佳代子の真の姿を知るために、事件の関係者を訪ね歩く。それは、自らの冤罪を晴らすためではなく、佳代子を忘れるための、そして、過去を弔うための巡礼だった。
著者等紹介
結城昌治[ユウキショウジ]
1927年東京生まれ。早稲田専門学校卒。東京地方検察庁に在職中の’59年に「寒中水泳」で、第1回「EQMM」短編コンテストに1席入選。’60年に同庁を退職し、作家専業になる。’62年に発表された『ゴメスの名はゴメス』、’63年の日本推理作家協会賞作品『夜の終る時』、’66年刊の『白昼堂々』などで、ユニークな推理作家としての地歩を固めた。『軍旗はためく下に』で、’70年に直木賞を受賞。’85年には、『終着駅』で、吉川英治文学賞を受賞した。’96年1月に死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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だまし売りNo
22
冤罪が出発点の小説。2022/10/05
一笑
8
無実の罪で7年の刑に服役したあと、真犯人を追い求めると言うより、自分が殺したことになっている女の真の姿を追い求める元刑事の物語。女の真実を知ることが過去からの決別、真夜中からの決別だと、女に関わりにある人物をひとりひとり訪ね歩く。最後に女の真実を知ったけれども、そこにはやっぱり真夜中しかなかった。事件としては大きくはないけれど、たった一晩しかともにしなかった女に対する男の姿がよく描かれている。読みやすかった。2022/08/08
ブルーベリー
7
ミステリーを読み始めたばかりのビギナーだからか、センスがないのか、作者がうまいのか最後の最後までどうなるのかがわからない。古本で仕入れてきた著者の本もう1冊あるから楽しみ( ´∀`)2014/06/23
於間抜新吾
6
とあるところで都筑道夫が好きだという話になって結城昌治という名前の名付け親でもあると知って読んでみた。好みだ。ニヒルでありペシミズムが底にある。どんどん読んでいこうと思った。2023/02/20
えりまき
6
誤認逮捕された元刑事の久保が、殺された佳代子の本性を探る。スマホもネットカフェもない昭和感をたっぷり味わいました。2019/08/03