内容説明
裕福な家庭で育ち、初恋の相手泰治と婚約した品子は幸せの絶頂にあった。だが結婚後も夫の心は気高く美しい大使令嬢の真津子に向いていた。妻にも祝福される恋をしたい。そんな泰治の理不尽な求めにも素直に従い、品子はひたむきに愛を貫く―。昭和初期の華やかな上流社会を舞台に、男性に翻弄されつつも、逞しく成長する一人の女性の生き様を描いた長編小説。
著者等紹介
林真理子[ハヤシマリコ]
1954年山梨県生まれ。’82年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』がベストセラーとなる。’86年「最終便に間に合えば」「京都まで」で第94回直木賞受賞。’95年『白蓮れんれん』で第8回柴田錬三郎賞受賞。’98年『みんなの秘密』で第32回吉川英治文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あつひめ
78
妻に対して妻に祝福される恋がしたい…とのたうちまわる男の気が知れないのは私だけだろうか。妻とはいったいどんな存在なのか…と言いたくなるが、愛人が妻の座に嫉妬するように妻も夫の女にはやきもきするようだ。ただこの自分から泥沼のような関係を引きずる主人公にはなかなか共感できず。ラストのさっぱりした印象は焼きもちを焼く必要もなくなり勝ち抜いた…という気持ちと愛を貫いた強さが現れたのか。妙な清々しさだった。2014/01/20
ねずみこ
10
昭和初期の上流家庭の子女のお話。時代背景や設定は好きです。とにかく男の身勝手さに呆れ果てましたね。2014/08/03
まきこん
7
★★★☆☆昭和初期の上流階級の物語。もっと上流階級のゴージャスさや庶民の知らないエピソードが欲しかった。主役の品子はまだ少女の頃からの思い人をずっと愛するのだか、対象の男はなんだか薄っぺらい感じだし、品子の恋情も迫力不足。前回に白蓮や真杉静枝の物語を読んだせいか、同じ作者なのに薄く中身がなく感じました。あとがきで風と共に去りぬを彷彿させる‥とありましたが、風と‥の大ファンの私からしたら、全くとんでもない話。2014/05/22
文句有蔵
6
びっくりするほどスッカラカンの小説だった。林真理子はもう少し読ませる話を書いていたと思うが、本作は唖然とするほど中身がない。が、敢えて言うなら「妄執」をテーマにした作品というところだろうか。主人公の品子は徹底して泰治の美貌だけを愛し、彼の内なるものには一切関心がないのだが、いっそ泰治を、戦禍で醜く顔を焼け爛れさせ、引きつれて閉まらなくなった口元からいつも涎を垂らさせている男に仕立て、それからの展開を書けば面白かったかもしれないが、本作は起承結で転がない。だから読後の感想は「唖然呆然」である。2014/01/11
りょう
2
こういう上流階級?の女性のわがままなところを書かせると林さんって上手いなあ、って思います。最後に元夫と愛人の間の子どもをひきとる暴挙に出る品子ですが、そこからの強くなる人生の方があたしには興味があります。でも、そこはないの(笑)2024/01/14