内容説明
都内の出版社に勤務する松本正幸、五十歳。妻と一男一女のごく平凡な家庭を営む。―彼は田舎に住む年老いた両親の行く末を案じ、また浪人中の息子の進路で悩む父親でもある。そしてまた、地域住民との親睦を図りつつ、部下の女性と秘かに不倫を愉しむ顔も持つ。様々な「顔」を持つ男の実体は…?「企業」「恋愛」「家族」小説としても味わえる奇妙な連作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SeKimu
3
ミステリー?怖系?いやいや違った。誰もが立場によっていろんな顔を持っており、主人公の正幸は、50才前後で誰もがもっているであろう顔の他に恋人などの少数派の顔を持つことになっているため、その他の立場にも微妙に影響を与えているといった内容か。自分のことに置き換えて考えて見ると新たに考えることもあってちょっと面白い。少ないページのセクションに分かれており、ちょっとお出かけの合間に読むのには重宝しそうかな!2012/06/19
アイゴン
2
昔より家族について考える事が多くなったので、面白かった。自分が家族に見せてないように、父親も家族に見せてない顔があるんだろうな。でもそれが普通なんだなと思った。2009/12/27
ひより
1
何年ぶりかの再読。人はいろんな顔を持っているけれど、50歳の平凡なサラリーマン松本のそれぞれの顔を見せる相手が各章の主人公になってる、そんな構成。清水さんの文章はすんなり入ってきて、淡々とした話でも先へ先へと誘われる。ここ数年、ミステリを中心に読んできたから、ついつい盛り上がりやどんでん返しを期待しちゃって、そういう頭でいると「あれ?これで終わり?」って感じなのだけど、それでも何となくおもしろかったと思えるのが不思議。2014/09/13
けん
0
連作長編であるが、どの話も「これから先」については書かれていない。古い作品だが、今読んでも全然古びた感じがせず、面白くかつ興味深く読むことができました。2016/05/17
rio
0
タイトル負けするくらい平凡なお話し。小説のネタには、なりそうもない事を淡々と語り、最後にちょっと非日常な事件に出くわして、おしまい。でも、それなりに面白かった。2014/06/12