内容説明
一人の主婦の他殺死体が、東大和市の山林で発見された。主婦の名は大口安代。仲間と行ったカラオケの帰りに犯人と会い、現場まで連れ出されたものと推測された。社会派作家の北村直樹は、新聞で見た安代の顔に見覚えがあった。大学病院に友人を見舞った帰りのバスで見かけた図々しい女に違いない。しかし、安代はなぜ殺されたのか。北村は個人的な興味に加えて、職業的な関心を持って、事件の真相を調べ始めた。(「余計な正義」)。なにげない日常に潜む陥穽に堕ちていく男と女。人の心の砂漠が生み落とした七つの悲劇を、「殺人の円環」という手法で描いた、珠玉の森村ミステリー傑作集。