内容説明
数百人の声を聞き分けられるすばらしい聴覚にめぐまれたベテランの電話交換手―彼女がたまたまその耳に強盗殺人犯の声を聞き、その頭脳に忘れえぬ記憶としてしまいこむはめにおちいる。月日は流れ、彼女は結婚して職をはなれた。だが、やがてある日…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雲國斎
18
「声」「顔」「恋情」「栄落不測」「尊厳」「陰謀将軍」の全6短編。この中では、やはり「顔」かな。初めて読んだのはもう40年以上前だけど、すっかり忘れていた容疑者の顔を映画のワンシーンからこいつだと気づくところ、実にインパクトがあった。「尊厳」もなかなかうならせる一編。オチもいかにも清張って感じで好きだ。実際に天皇御行中に起きた誤導事件に材を取っているのだとか!やっぱり清張はおもしろい! 2021/09/01
NeoGravis
2
昭和30年代(当時)の殺人事件から、明治の華族の恋、大正の不敬、徳川綱吉治下の大名、足利義昭まで時代が多岐にわたっている。短編だけど、どの時代もスッと入っていけた。「顔」の話と、足利義昭が毛利の肩をゆする部分が好きです。なんだか司馬遼太郎の『ペルシャの幻術師』を読みたくなってしまった。2013/04/13
ハイク
2
「声」「顔」が面白い。電話交換手が多くの人達の声を聞き分ける能力を題材にした推理小説だ。トリックも仕込んだある。「顔」はテレビドラマで見た記憶がある。調べて見ると両方ともかなりの本数でドラマ化されている。それだけ魅力ある作品ということであろう。2012/09/06
もかすけ
2
やっぱ、松本清張はおもしろい!2012/05/28