内容説明
ひとのコミュニケーションに、ハラスメントの悪魔はいつでも忍び込む。気鋭の研究者による画期的な論考。
目次
第1章 ハラスメントとは何か
第2章 ハラスメントの伝播
第3章 フィードバックと学習
第4章 愛情の役割
第5章 感情の衰退
第6章 ハラスメントの構造
第7章 呪縛からの脱出
第8章 呪縛なき秩序
著者等紹介
安冨歩[ヤストミアユム]
1963年生まれ。京都大学大学院経済学研究科修士課程修了後、京都大学人文科学研究所助手、名古屋大学情報文化学部助教授、東京大学大学院総合文化研究科・情報学環助教授を経て、2007年より、東京大学東洋文化研究所准教授
本條晴一郎[ホンジョウセイイチロウ]
1978年東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程在学中。日本学術振興会特別研究員。力学系理論をベースにした複雑系科学を背景に、生物はどのように学習を進めコミュニケーションを可能としているのかの研究を進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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香菜子(かなこ・Kanako)
39
ハラスメントは連鎖する 「しつけ」「教育」という呪縛。安冨歩先生と本條晴一郎先生の著書。セクハラ、モラハラ、パワハラ、アカハラ、マタハラと、ハラスメントだらけの日本社会。でもハラスメントは連鎖するもので、ハラスメントの被害者が同じようなハラスメントの被害を繰り返し受けることもあれば、今度はハラスメントの加害者になってしまうことだってある。ハラスメントなんてどこで起きているの?実際にそう思っている人は多いし、そう思える人は幸せなのかも。2019/09/28
おおにし
17
ハラスメントは自分には関係がないと思っている人には、ハラスメント被害者が加害者に変身して連鎖していくなどとは理解できないだろう。小学校の頃いじめられっ子からいじめっ子に変身した私にはこのような連鎖の問題は身近なことに感じた。子供の頃に誰でも何らかのハラスメントを受けているそうだが、自分が受けたハラスメントの全貌がわからないと、周りにどれだけ伝播させてしまったか知ることが出来ずとても恐ろしい。我々がハラスメントの呪縛から逃れる道は険しいが、まずはハラスメントの構造を理解するところから始めるたい。2013/08/28
Hiroki Nishizumi
5
たいへん興味深く読めた。何か心が苦しかったり、空が鉛色に感じられるとき、我々はハラスメントを受けているようだ。世代を超えて伝播する魂の傷や、タガメ女カエル男といった喩えでハラッサー・ハラッシーの行動など分かりやすい解説がされている。また、ではどうするかとの問に対しても「真実にしがみつく」ことを提示していて感心する。本書についても時間を置いて、またガンジーや別途論語、星の王子さまなどの引用文献についても再読したいと感じた。2012/11/21
ボダ
3
「ハラスメント」という単語で、多くのことの説明がつくことに気付かされた本。あれもこれもハラスメント。 また、ハラスメントが連鎖していることが、現代社会における大きな問題点であることに気付かされる。 そこに気づいた一人が行動し、あちこちで波及していく。 そこから新たな秩序が生まれていく。 そんな問題解決なイメージ。2020/07/16
shimojik
3
これはかなりの名著なのでは。読みながら眼からうろこがぽこぽこ落ちる感覚があった。星の王子様をハラスメント物語だと看破するさまなどすばらしい。2012/05/20