出版社内容情報
前著「現象学の射程」の問題関心を引き継ぎ、1960年代以降明らかになってきた現象学のテーマの転換を追う。それは近代的自我の明証性では捉えきれない、言語、身体、他者などの登場である。本書はそうした新しいテーマを「他性」という言葉で統括する。現象学は他性を思考することを強いられたのである。そこで改めて、存在するものの基礎構造である時間概念の中核にある他性を確認し、次に社会秩序の中の他性を考察する。また個々の論者(フッサール、ガダマー、サルトル、デリダ等々)に即して、現象学の中の他性の運動を歴史的に素描する。