内容説明
山々にかこまれた貧しい村。そこに生きる人々は、60歳になると、あてのない旅に出て、二度と村へは戻ってこない。それが村のおきてだった。おゆきにも、ついにその時がやってきた。ところが、旅立ちの前夜、おゆきの姿が突然人々の前から消えてしまう。―うばすての風習の残る村を舞台に貧しい村人たちの喜びと悲しみを描いた傑作。第25回サンケイ児童出版文化賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やっちゃん
1
おゆきは嫁に行った先で姑にいじわるされながら先妻の子を育てるが、いつもにこにこ笑っていた。村では一定の年齢に達した年寄りが巡礼にいくといって姿を消すのが当たり前だった。ある日おゆきが山に仕事に行くと、やまんばに会う。山姥は思ったより優しかった。そして何十年も経って、ついにおゆきが巡礼に出る番になる。それまで「嫌だ」を一度も言ったことのなかったおゆきが初めて「嫌だ」と口にする。少し前まではこんな生活が当たり前だったのだとしみじみ思った。姥捨て山をアレンジしたようなお話。これも引越しても持ってきた。