なぜ・どうして種の数は増えるのか―ガラパゴスのダーウィンフィンチ

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なぜ・どうして種の数は増えるのか―ガラパゴスのダーウィンフィンチ

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  • サイズ A5判/ページ数 223p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784320057845
  • NDC分類 488.99
  • Cコード C3045

出版社内容情報

 地球上には150万もの種が生息するが,これら多数の種はどのようにつくられたのだろうか。ピーター・グラントとローズマリー・グラントの夫妻は,1973年以来40年もかけてこの問いに迫ってきた。その精力的な研究の成果が,32頁におよぶ鮮やかな口絵写真とともに本書にまとめられている。研究対象となったのは,南太平洋のガラパゴス諸島に生息する一群の鳥,ダーウィンフィンチである。

 本書では,種分化にかかわる数多くのプロセスが一つ一つ検討され,ダーウィンフィンチの長期野外研究の結果に基づいて検証されていく。たとえば以下のようなものだ。
・何年かに一度,急激に変化する自然環境下で,自然淘汰によりフィンチの嘴の形態とサイズが急速に進化することを,自然淘汰のはたらく条件や原因も含めて詳細に実証した。
・子どもは父親からさえずりを学習する。これは雌による配偶者選択にはたらく。結果,種間の交雑を避けることになり,生殖隔離機構として重要な意味をもつ。また,学習の相手を間違えることで異なる種の間での交雑が生じる。これは鳥類では一般的なことらしい。
・交雑は結構頻繁に生じていて,雑種形成による遺伝子浸透のため種間の区別が消失してしまうこともある。そうでない場合には,交雑は形質の遺伝的なばらつきを増やして自然淘汰がはたらきやすくし,環境への素早い適応的進化をもたらす。

 翻訳出版にあたり,グラント夫妻から寄せられた日本語版へのあとがきには,ガラパゴスのダーウィンフィンチのすべての種について,全ゲノムが解読されてわかったことや最近のフィールド調査の成果など,本書を出版した後の研究の進展が書かれている。この分野の研究の進展についての興奮を読者に伝えたいという著者達の意気込みが伝わる。
(ピーター・グラントとローズマリー・グラントの夫妻は,2009年に,基礎科学部門における第25回京都賞を共同受賞している。進化生物学や生態学,動物行動学といったいわゆるマクロ生物学では,京都賞が最高の権威をもつ)

 長期にわたる野外研究の重要性とともに,他方でゲノム研究や発生の分子生物学,学習などの進歩と,生態学や動物行動学,地理学などとが結びつくことによって生命現象が深く理解されうることが,本書により実感できるだろう。

[原著:How and Why Species Multiply:The Radiation of Darwin's Finches. Princeton University Press.]

第1章 生物多様性とダーウィンフィンチ
1.1 生物多様性
1.2 研究対象の選択
1.3 ダーウィンフィンチ類
1.4 ダーウィンフィンチ類の種多様性
1.5 種と集団
1.6 本書の概要

第2章 起源と歴史
2.1 はじめに
2.2 系統
2.3 祖先
2.4 祖先種が到着した時
2.5 植民
2.6 生態という劇場
2.7 舞台場面の変遷
2.8 進化という演劇
2.9 最近の環境史
2.10 まとめ

第3章 種分化の様式
3.1 新たな種の形成
3.2 1集団から2集団へ
3.3 異所的な多様化
3.4 同所的な共存
3.5 同所的種分化
3.6 側所的種分化
3.7 モデルの検証
3.8 まとめ

第4章 島への移入と定着
4.1 種分化:最初の分断
4.2 新集団の形成
4.3 創始者効果:理論からの予測
4.4 植民
4.5 近親交配
4.6 繰り返す移入
4.7 創始者効果の異なるシナリオ
  4.7.1 結論
4.8 他の種の例では
4.9 まとめ

第5章 自然淘汰,適応,そして進化
5.1 適応
5.2 嘴サイズと餌
5.3 環境変化に伴う適応進化
5.4 自然淘汰
5.5 進化
5.6 揺らぐ方向性淘汰
5.7 短期間の事実から長期間の事柄を推定する
5.8 変異の源泉
5.9 嘴はどのように形成されるか
  5.9.1 高さと幅
  5.9.2 長さ
5.10 まとめ

第6章 生態的相互作用
6.1 はじめに
6.2 競争
6.3 共存のパターン
  6.3.1 嘴から餌を推測する
  6.3.2 パターンの解釈
6.4 形質置換と解放
  6.4.1 観察された形質置換
  6.4.2 オオガラパゴスフィンチの競争的役割
  6.4.3 対照的な状況下での淘汰
  6.4.4 形質置換の進化
6.5 まとめ

第7章 生殖隔離
7.1 交雑を避けるための交配前隔離
7.2 種間の区別に含まれる要因
  7.2.1 嘴
  7.2.2 さえずり
7.3 学習
7.4 種間でのさえずりの違い
7.5 異所的な場合のさえずりの多様性
  7.5.1 生息環境への適応
  7.5.2 形態分化の帰結として起こるさえずりの変化
  7.5.3 偶然の役割
7.6 二次的接触の再現
7.7 まとめ

第8章 交雑
8.1 はじめに
8.2 交雑
8.3 なぜ交雑が起こるのか
8.4 交雑が起きないのはいつか
8.5 雑種個体の適応度
8.6 大ダフネ島での遺伝子移入
8.7 島嶼での遺伝子移入
8.8 強化
8.9 生殖的形質置換
8.10 遺伝子移入の進化的重要性
8.11 まとめ

第9章 種と種分化
9.1 はじめに
9.2 過程から産物へ:種とは何か?
9.3 実用的な定義
9.4 ダーウィンフィンチ類は何種類か?
  9.4.1 ムシクイフィンチ:1種か,それとも2種か?
  9.4.2 ハシボソガラパゴスフィンチ:1種か,それとも3種か?
9.5 産物から過程へ戻る
9.6 分裂と融合
9.7 まとめ

第10章 ダーウィンフィンチ類の放散を再現する
10.1 はじめに
10.2 放散の形
10.3 種分化と絶滅
  10.3.1 種分化
  10.3.2 絶滅
  10.3.3 系統とのかかわり
10.4 適応度地形
10.5 生態的な棲み分けのパターン
10.6 特殊化
10.7 複雑な群集の蓄積
10.8 まとめ

第11章 適応放散の促進要因
11.1 はじめに
11.2 環境が与える放散の機会
11.3 地理的な適合
11.4 生態的な機会
11.5 多様化への高い潜在能力
11.6 行動の柔軟性
11.7 浸透交雑
  11.7.1 交雑と動物育種
  11.7.2 遺伝子移入を促す環境条件
11.8 フィンチ対マネシツグミ
11.9 まとめ

第12章 適応放散の生活史
12.1 はじめに
12.2 適応放散の第1段階
12.3 適応放散の第2段階
12.4 ホールデンの法則
12.5 適応放散の第3段階
12.6 総合
12.7 まとめ

第13章 ダーウィンフィンチ類の放散の要約
13.1 何が起こり,それはなぜ起きたのか
13.2 欠けているものは?
13.3 エピローグ

日本語版へのあとがき
用語集
引用文献
索 引

Peter R. Grant[ピーター アール グラント]

B. Rosemary Grant[ビー ローズマリー グラント]

巌佐 庸[イワサ ヨウ]

山口 諒[ヤマグチ リョウ]

目次

生物多様性とダーウィンフィンチ
起源と歴史
種分化の様式
島への移入と定着
自然淘汰、適応、そして進化
生態的相互作用
生殖隔離
交雑
種と種分化
ダーウィンフィンチ類の放散を再現する
適応放散の促進要因
適応放散の生活史
ダーウィンフィンチ類の放散の要約

著者等紹介

巌佐庸[イワサヨウ]
1980年京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。現在、九州大学大学院理学研究院教授、九州大学高等研究院院長、理学博士。専門は数理生物学

山口諒[ヤマグチリョウ]
2014年九州大学大学院システム生命科学府博士前期課程修了。現在、九州大学大学院システム生命科学府博士後期課程在学中、日本学術振興会特別研究員(DC1)、修士(理学)。専門は数理生物学、進化生物学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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家の中のぱっぽ

0
進化生物学の定番中の定番に挙げられるガラパゴスのフィンチを40年以上研究した集大成です。 実際は、原著2008年以降さらなる驚きの研究結果が発表されていますが、種とは何か、進化とは何か、など根本的な問いに対する課題に向き合った大著だと思ってます。 他の生物にも良い意味で刺激的な示唆を提供できる内容でもあるので、一読をお勧め。専門的ですが、生物の研究をする人にとってはモチベ向上にも新たなアイディアを得られると思います。2021/06/08

くろじら

0
ガラパゴスフィンチの長期研究で有名なグラント夫妻の本の邦訳。種分化のプロセスについての実証的な研究の積み重ねの成果は素晴らしい。ただ、夫妻の研究のエッセンスのみと言っても良い内容なので、ある程度以上の進化生物学の知識がないとわかりにくいだろうと思う。訳文もこなれているとは言い難いので、正直読み物としては苦痛なレベル。そこまで英語に堪能ではないという研究者が読む分には、原書よりは時間が節約できるのでありがたいけど、ちょっと初学者には勧められないかな。2019/11/26

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