内容説明
遙かな“ゆうさりの光”の世界と交響する現代日本詩のあざやかに結晶。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
7
「ゆふさりのひかりのやうな電話帳たづさへ来たりモーツァルトは」「秋の陽をかばんに詰めて帰り来るをとこひとりと暮らすもよけれ」「かたはらにひとありひとの息吹ありさりとて暮しこの夕月夜」2023/06/27
浦和みかん
4
意味は分からないけど詩性は分かる。固有名詞に必然性を感じる。破調だけど読める。不思議な感じ。巻末にあるショートショート的なあとがき(?)も面白い。2016/08/12
シロクマぽよんぽ
3
永井陽子の代表歌集と言えばこれ。先日『永井陽子全歌集』を読んでいたので再読。1987~1993までの作品の中から、人名と書名の入ったものを180首選び、50音順に並び変えた、という構成。『全歌集』を読めばわかるが、日本神話や古典文学を題材にするなど、永井陽子の歌風には幅がある。この歌集では、「モーツァルト」(西洋的な音楽性)と、「電話帳」(日本語の音韻性)の融合が試みられており、特に前者のイメージが強いのが他の歌集との違いだろう。他者がまとめた遺作、『小さなヴァイオリンが欲しくて』と比べるとわかりやすい。2022/03/02
あや
3
音楽を詠んだ歌が好きです。2019/10/27
シロクマぽよんぽ
2
再読。短歌の音韻性を考えるなら、やっぱりこの1冊は外せないんじゃないかと思う。ただし、《音楽性・言葉遊び・童話的》という切り取り方だけでは、この歌集を正しく評価できているとは言い難い。歴史性、仏教的世界、絵画性、動植物、漢字かな表記の工夫など、さまざまな観点から評価されるべき歌集なのではないだろうか。2024/06/12