内容説明
条約締結後のお吉は幕末の動乱に捲き込まれ、祇園の芸妓となり、松浦武四郎の片腕となって開国に奔走、維新後は流浪の果て、下田に戻り、相変わらぬ悪罵と嘲笑と、貧困の中に反抗しつつ、明治24年3月25日、51歳で下田川(稲生沢川)の上流門栗ケ淵で豪雨の夜、投身自殺しました。身寄りもないうえにラシャメンであったため、父母の菩提所までがひきとりを拒んだのでした。幕末、日米条約締結のため伊豆下田に来航したハリス。その愛妾として仕えたお吉は晩年、悲惨な最期を遂げる。後世つくられた虚像を覆す史実にもとづいた本格的お吉伝。
目次
1章 孤独地獄
2章 お吉をたずねて
3章 非情の海
4章 野蛮人
5章 攘夷と開国のあいだ
6章 京洛へ
7章 狂乱
8章 入水自殺とお吉の墓の由来
資料
著者等紹介
竹岡範男[タケオカノリオ]
平成15年没。元宝福寺住職。下田市芸術連盟会長。ケンブリッヂ・インターナショナルフーズフー会員。日本ペンクラブ会員。日本音楽著作権協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆうじん
1
正直今まで唐人お吉の事は名前さえ聞いた事がありませんでした。この一冊で全てがわかるとは言えませんが、供養した住職の息子さんが書いており、しかも周りの方々に話を聞いて書いているということで、忠実でもあり重みのある本です。お吉の心情を考えながら読むと非常に悲しくなります。お上からお国の為にと言われ侍従になり、下田の民衆には唐人と罵られ、のちに浮浪者に成り下がりながらも懸命に生きなのになぜ入水自殺をしたんだろう。心情を考えると胸が苦しくなる。2013/02/17
月照彦
1
初めてお吉さんの存在を知った。日米和親条約締結の陰にこんな悲劇があったとは。お吉さんの生きた幕末から明治にかけての人々の誤解と無知によって、その後の人生も救われず報われず、感慨深さが残る。2012/05/23
らいしょらいしょ
0
らしゃめんということで、同じ日本人からこんなにもひどい仕打ちを受けていたらしいお吉。この表紙の写真が本当にお吉であるとすれば、現代においてもかなりの美人。芸事もこなすし、異人相手にはじめ一歩も引かずに正面からぶつかる潔さ。今ならどれほど持ち上げられることだろう。時代ゆえか、お骨の引き取りてすらなく、某お寺に落ち着き、記念館として世に知られるまで、なんて年月が経ったことか。本書が書かれたのもずいぶん前で、今また調べてみれば、あらたに分かることもあるのではないか。2016/07/28
penzo
0
幕末の開国。歴史教科書の行間に隠れた史実にふれ、リアルな世界観を感じます。南伊豆の小さな御宿で見つけ読了。2015/03/22
takj
0
開国の歴史を知る上で勉強になりました。 大和撫子お吉。 2014/10/15