内容説明
「日本的雇用」、「新規学卒就職」モデルの崩壊!悪化する「就職内定率」、燃え尽きる「正社員」、使い捨てられる「非正規労働者」、付け焼刃の「学校教育」。ルールなき時代を漕ぎ渡るキャリアとは?無防備なままに若者を社会に放り出すな。
目次
第1章 学校は、いつから「職業人養成所」になったのか?(社会人になるための能力ってなんだ!?;就職できる能力を証明する!? ほか)
第2章 なぜ若者の雇用問題は、学校教育を直撃したのか?(高卒就職はどう変わったのか?;大卒就職はどう変わったのか? ほか)
第3章 「新規学卒一括採用」の功と罪―一九八〇年代までの就職模様(新規学卒一括採用ってなんだ?;高校はどう就職斡旋をしていたのか? ほか)
第4章 仕事の世界へのわたりを支援する学校教育の課題(急ごしらえのキャリア教育・支援では、なぜダメなのか?;正社員という「勝ち組」の虚と実 ほか)
ブックガイド―僕の考えをつくりあげてくれた本の世界(進路を考えるということ;学校におけるキャリア教育・キャリア支援 ほか)
著者等紹介
児美川孝一郎[コミカワコウイチロウ]
1963年、東京生まれ。法政大学キャリアデザイン学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コウメ
49
今の学校(大学を含む)は、子供と若者を将来の「職業人」へと育てていくための準備教育の役割を強化していくことを行っている。/1990年代に新規学卒者である若者に対する採用方針と雇用戦略を転換。どのように転換したかというと、ひとつは、「正規雇用」の数を減らし、その分「非正規雇用」に置き換えたていったこと。もうひとつは、正規雇用に関しては、入社時点で「即戦力」となる人材を求めるようになったこと。ここでいう即戦力は、働いたことのない新卒者ではなく、正社員の採用数を減らす企業側のねらいと思われる。2019/05/22
ゆう。
18
大学においてキャリア教育という言葉がでてきて久しい。日本的雇用や新自由主義的なグローバル資本主義が求める人材育成のなかで、学校から職場への移行がどうあるべきなのか、真剣に考える必要がある。権利としてのキャリア教育を提起する著者ならではの分析だったように思った。2020/06/21
B.W.
16
まがりなりにも就職氷河期を乗り切った身(?)としては、現在の学生の現実にまったく無頓着でありすぎた。抜き差しならないほどの現実を目の当たりにして正直ショック。急ごしらえのキャリア教育・支援では乗り越えられない現実。どうすれば良いか?社会全体で考えなければならない。社会全体の認識不足が一番の問題。文科省・大学の対応を小手先だけとは簡単に批判できない。2011/05/18
ステビア
6
いい本ですね。自分から出発しないキャリアガイダンス!2014/03/11
nutts
5
本末転倒。「キャリア」なる実態のない枠組みを流布させたことが、結局「働く」ことそのものを深く考える機会を失わせ、仕事のある現場の実態と就労希望者との認識のずれを拡大させている。一番罪が重いのは、自ら存在意義を否定して、キャリア教育などという幻想を持ちだした、大学そのものだろうに。2011/03/26