感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ももたろう
20
『冬の船旅』この作品は「悪意はないが傍迷惑な思い込み人間」をユーモアを交えていじる話だった。自分では良かれと思ってやっていることが他人にとっては迷惑だった。しかしそこに気づかず「良い事をしている」という「思い込み」で突き進む、悪気のない女性が、ドイツ人達に煙たがられて、悪戯を仕掛けられる話だった。結末で女性が友人に対していたずらっぽい目付きで「旅行は楽しいものよ」と言っていたのでホッとしたが、物語の途中では、悪戯をしかけた登場人物と同様に私も良心が痛んだ。お洒落な作品。2016/12/13
nightowl
1
男のロマンを愛してくれる結婚相手ではなかった為に破滅するお坊ちゃん「凧」、囚人慰問係が語る身分違いの恋「エピソード」、戦時中の独兵に施しを受ける仏一家「征服されざる者」、鬱陶しいハイミスに爆発寸前の船員達が立てる企て「冬の船旅」の四作。晩年の作品だというのに「エピソード」「征服されざる者」の二作の張り詰めた文章が凄い。無駄の無い鋭さに読後言葉を失った。2015/04/11